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「あなた、(中国の人よりも)いま幸せですか?」

2009年1月30日(金)

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 「胡錦濤は、上からの民主実現を本気で考えている」という、私が立てた仮説に対し、以下のような趣旨のコメントを頂いている。

今の中国はそもそも社会主義の国などではない。
共産党一党独裁に市場経済を導入しただけだ。
中国政府は政権維持と自己利益のために都合のよい論理を構築しているに過ぎない。

 たしかに――。
 私もそう思わないわけではない。いや、むしろ、同じようなことを叫びたい衝動を抑えながら、キーボードに叩きつける文字を慎重に選んでいると言った方が正確かもしれない。

 なぜ抑えるのか。
 私たちは西側諸国が定義する民主主義の中で生きている。その定義から見える世界観でのみ、国家の制度の良し悪しを判断しがちだ。そこには、冷静な客観性が失われる可能性がある。

 ごく単純に言えば「日本や米国、英国のような制度を入れていない国は民主国家ではない」、もっといえば「そういう形の民主国家でなければ人々は幸せになれない」という、思い込みがあるんじゃないか、という危惧である。

 ご存じの通り、選挙制度や政府の運営形態から始まって、我々が「民主主義」とひとくくりにしがちな概念も、国や地方によってさまざまな形を取る。辿ってきた歴史が違う、周囲の情勢が違う、国勢や気候、地形も違う。となれば、単一のシステムが人々を幸せにするのは難しい。

思い込みから逃れるために

 私たちは真理に到達するには、当然と思えるような概念にもチェックを入れて、既成概念を見直してみなければならない。先験的(a priori)に何かを判断する先入観のようなものは、予め取り除いてから分析をしなければならない。それが科学的態度の基本であろうと、かつて科学者であった私は、自省せずにはいられないのだ。

 回りくどくなってしまった。

 中国に於いても、我々の既成概念とは違う形で、今よりも多くの人民が幸せになるような「民主」が実現する可能性を、無前提に排除してはならない。論を進める前に、その気持ちを読者の方と共有したい。そうでなければ、どうしても「空論」めいてしまうだろうし、興味をもっていただくのも難しいだろう。

 中国共産党側が主導する民主化だって? それはどうしても現実味に欠ける、とお思いならば、思考実験と受けとめて頂いてもかまわない。

 「そういうことも、あり得るかもしれない」と皆さんに考えて頂くために用意したのが、前回書く予定だったが飛び込んできたニュースで流れてしまった「あなた、いま幸せですか?」という記事だった。

 さて、それでは改めて聞かせていただこう。

 あなた、いま幸せですか――?

日本人は自らを、それほど幸せと思っていない

 もし仮に私がいま、日本の国民にこのような質問を発したとする。その答えは、大半が「あんまり……」というところだろう。

 これは私が思い込みで言っている――のではない。

 イギリスのシンクタンクNEF(The New Economics Foundation)が2006年に発表した2005年度のHPI(Happy Planet Index)、「幸福指数ランキング」というデータがある。それによれば、調査対象国178カ国のうち、中国は31位で、日本は95位、そして米国は150位と、最下位周辺で低迷している。内戦や虐殺が続いて荒廃した、コートジボワールやルワンダと同レベルの幸福度だ。

 NEFのデータを基に、イギリスのレイスター(Leicester)大学社会心理学者エイドリアン・ホワイト(Adrian White)が、ユネスコ、WHOなど100種類以上の国際機関のデータを参考にしながら出した「世界幸福地図」ランキングも見てみた。そちらでは世界178カ国のうち、中国は82番、日本は90番と、やはり中国より「幸福度」が低いのである。

 幸せでない理由はいろいろあるだろう。
 自分が望んでいるもの、達成したいと思っている理想像が高すぎるということもあるかもしれない。だから現状に不満だということもあるだろう。

コメント11件コメント/レビュー

幸福指数については、途上国であり多数の人々が「明日は今日より豊かになれる」という前提がまだ信じれるからこそ、貧富の差の拡大はあれど中国では高いのかなと思います。日本の高度成長期も似たような状況であったのではないかと(当時の日本も政治的には自民党が一貫して与党にあって安定した政治運営が行われていたのも興味深いです)今後の民主化も含めて中国は社会改善の余地が多いけれどもその分、希望や理想、それへの原動力もまた大きいのかもしれませんね。(2009/02/01)

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「「あなた、(中国の人よりも)いま幸せですか?」」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

幸福指数については、途上国であり多数の人々が「明日は今日より豊かになれる」という前提がまだ信じれるからこそ、貧富の差の拡大はあれど中国では高いのかなと思います。日本の高度成長期も似たような状況であったのではないかと(当時の日本も政治的には自民党が一貫して与党にあって安定した政治運営が行われていたのも興味深いです)今後の民主化も含めて中国は社会改善の余地が多いけれどもその分、希望や理想、それへの原動力もまた大きいのかもしれませんね。(2009/02/01)

中国は、民主主義というよりか、中華人民共和国株式会社に、向かっているような気がします。内需に関しては、社会主義、外貨を稼ぐ為に市場経済を導入したのでしょうが、本当にそれが出来れば、うらやましく思います、(2009/02/01)

とても面白い記事でした。ただ、ジニ係数などもそのまま信じてよいのか、ちょっと疑問も残りましたが。シンガポールも実は共和国なのですが、Wikiで調べてみると0.522(CIA,2005)、でも国家としてはとても安定しているようです。国の大きさ(人口?)にも拠るのかもしれませんが・・・まあ一つの指標であり、絶対的なものではないのでしょう。民主主義も行き過ぎれば今のような経済の破綻(?)を引き起こすし、格差も拡がるわけですが、社会主義(共産主義)なら平等かというとそうでもないわけですね。個人的には一昔前の日本的「社会主義的民主主義」が良かったように思います。 何にせよみんな急ぎ過ぎるのが良くないような気がしますが・・・。(2009/01/31)

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中埜 和英 ミツカンホールディングス会長