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中国は大丈夫か[47]あっという間に供給過剰~五輪後の中国経済(5)

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2009年2月12日(木)

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長らく続いた2ケタ成長が終わり、2008年の下半期、中国経済は7~9%成長へと失速した。奇しくも8月に開催された北京五輪を挟んで、経済情勢が一変した格好だ。2008年6~7月に掲載したシリーズ企画「五輪後の中国経済」。第5回は「産業振興」。

* * *

2008年7月14日号より

自動車や鉄鋼と並び、国策として育成される造船業界で大事故が相次ぐ。増産を焦り、インフラや技術が伴わない。資材高騰で採算割れの懸念も。儲かると見るや地方政府や民間資本が瞬く間に群がる構造が背景にある。

(佐藤 紀泰)

 上海市有数の観光スポットである外灘(バンド)。高層ビルが林立する浦東地区との間を流れる黄浦江を遊覧船で少し上ると、そこには見慣れない異様な風景が広がっていた。

 中国屈指の名門、滬東中華造船(上海市)の象徴だった鮮やかなブルーの門形クレーンが2台、ぐにゃりと折れ曲がり、門の左上を頂点とする巨大な三角形の残骸が姿をさらしている。

作業中に巨大クレーン倒壊、死傷事故に

 今年5月30日未明、900トンもある巨大な船体ブロックをつり上げる作業中に起きた倒壊事故だ。3人の死者を出した。「クレーンの操作は風にも細心の注意を払うデリケートな作業だ。増産を焦ったのだろうが、夜中にやる作業ではない。あまりにも初歩的なミス」と日本の造船業界首脳は指摘する。

 1928年開業の滬東中華造船は2大国営会社の1つ、中国船舶工業集団(CSSC)の傘下企業。中国では「国家の威信」を背負う特別な造船所だ。建造量では中国4位だが技術力はトップと目され、今春には最も製造が難しいLNG(液化天然ガス)輸送船を中国で初めて完成させた。中国の業界関係者の多くが「韓国や日本に技術で肩を並べた」と豪語していた矢先の事故だけに衝撃は大きかった。

 滬東中華造船は事故直前までに100隻近い大量の受注残を抱えていた。しかし、新たにクレーンを造るには1年ぐらいはかかる。納期遅れで多額の違約金の支払いが求められるかもしれない。

 5月には民間大手、江蘇熔盛重工(江蘇省)でも建設中の大型ドックが浸水事故を起こした。同社は新ドックの稼働によって建造量が国内3位に浮上するほどの成長企業。巨大ドックの分厚いコンクリートがひび割れを起こし、大量の水が流れ込んだ。これも普通では考えられない事故だ。「ドック建設を急ぎすぎた。基礎工事からやり直すには1年ぐらいかかる」と日本の造船大手幹部は言う。

 2015年に世界ナンバーワンの造船大国を目指し、飽くなき拡大路線を突っ走る中国の造船産業。だが、その足元では急成長のひずみとも言える事件が相次いでいる。

来年にも「造船バブル」崩壊

図表、国別新造船受注量

 2007年、中国における船舶の建造量は1055万総トンになり、5年間でほぼ5倍に拡大した。受注量に至っては一気に16倍の5800万総トンまで膨れ上がり、世界最大手の韓国に迫った。

 造船ブームを牽引してきたのが、全受注量の65%を占める民間の造船所である。最近4~5年間で江蘇省の揚子江デルタを中心に造船所が「雨後のたけのこ」のように増えた。その多くは、不動産などで成功した裕福な企業家による出資や自治体の支援によるものだ。

 ただ、造船業界を取り巻く収益環境は急速に悪化しつつあり、早ければ来年にも「造船バブル崩壊」の可能性が指摘されている。中国政府は自動車や鉄鋼などと並ぶ基幹産業として造船会社を手厚く支援してきたが、昨年、過熱した造船所への投資ブームに警鐘を鳴らした。中国経済にとって「新たな火種」になりかねないからだ。

 2010年、中国の建造能力は政府の「船舶工業中長期発展計画」が想定する水準の2倍近くになる可能性がある。無秩序な競争に突入し、造船所が共倒れになる恐れが出てきた。それでも、ブレーキの壊れた機関車のような暴走を止めることはできないままだ。

大型船を中心に10隻以上のキャンセル

 中国の造船業界に詳しいみずほコーポレート銀行産業調査部の遠藤宏参事役は「米国を震源地とするサブプライムローン問題が中国の造船業界に影を落としている」と指摘する。

 船舶向け融資で中核を担う欧州金融機関の業績が悪化したことで「欧州の海運会社や船舶の投資ファンドへの融資が先細りしており、今後は中国への発注が減少したり、キャンセルが出かねない」との見方だ。

 中国では今年初めから大型船を中心に10隻以上のキャンセルがあったという。中国にバラ積み船などを大量発注してきた「転売目的」の投資ファンドが手じまいを始めたとされている。

 中国政府が北京五輪後に一段の金融引き締めに動きそうなのも懸念材料だ。借金体質の民間造船大手は金利が上昇すれば収益が一気に悪化するほか、増産のための設備資金の確保が難しくなる。船舶の受注契約では造船会社が海運会社など船主に納入できない場合の罰金である「リファンドギャランティー」があり、中国では金融機関が保証している。だが、最近では「民間造船所の一部では金融機関から保証が得られず、契約できない例が出ている」(日本の金融業界関係者)という。

4分の1が納期遅れに

 今年から追い打ちをかけそうなのが為替と鋼材の問題だ。

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