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変化する農村コミュニティー(1)

農村部でも“自家用車社会”は終焉を迎える

  • 吉田鈴香

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2009年2月3日(火)

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 日本の国土の約7割を占める中山間農業地域(注)が、行政サービスのコストを引き上げている。中山間農業地域は環境と国土などの面から重要な機能を果たしているが、税収の自然減、少子高齢化を考えると、この地域のために行政の予算を今後も大量につぎ込むことはほとんど不可能だ。

 ところが、中山間農業地域の活性化は、地方自治体ではなく農林水産省の役割と決められている。農水省は、効率的運営を目指す地方自治体の努力に水を差してはいないだろうか。

(注)農水省の用語で、平野の外縁部から山間部を指す。

 前々回の記事「農水省改革チームの提言は国家を動かすか?」で、農水省が改革チームを発足させ、実施に乗り出したと書いた。石破茂農水大臣はまさか本稿によって勇気づけられたわけでもないだろうが、河村官房長官を動かして農政改革担当相を設置、自ら着任した(と筆者はにらんでいる)。総務省や財務省など他省庁との特別チームを設置して、官邸の骨太の方針に政策を入れ込む方針のようだ。

 その意気や良し。だがこの機に、農水省が結果として地方自治の新しい流れに逆らってしまっていることに気づいてほしいのである。

「自然村」と「行政村」を区別

 筆者が農村と農業に関心を抱き始めたのは、発展途上国を歩くようになってからである。発展途上国の開発を手がけていると、しきりに「コミュニティー」という言葉が出てくる。「コミュニティー単位での支援が基本」とか、「コミュニティーと行政との関係がガバナンスを左右する」とか、何かにつけて「コミュニティー」に出くわす。

 「コミュニティー」は長く「地域共同体」と訳されてきたが、心の結びつき、アイデンティティーを表す意味もあるのではないかと思い始め、世界と日本のコミュニティーとを比べて、その社会的意味、行政単位としての意義を考えてみた。すると、日本のコミュニティーの中でも、中山間農業地域は変化を受容できずに、行政コストを引き上げている元凶なのでは、と思えてきたのである。

 「日本には自然村(しぜんそん)と行政村(ぎょうせいそん)がある」と言ったのは、社会学者の鈴木栄太郎だ。19世紀末の生まれで、亡くなって40年以上経つが、村落と都市の連結が、全体として国民社会を生むと定義したことで知られている。

 鈴木の説はいまや、地域社会学の初歩的理論となっている。邨(むら)や群れと同義の、人間が集まって形成する従来の共同体を「自然村」といい、対して、最小の行政単位として自然村をまとめてくくったものを「行政村」という。前者が社会学的な見方であり、後者は行政の見方である。

 自然村は、東京の下町のような都市部にもあるが、主として今は農村部にある。農水省用語で言うと、平地農業地域、中山間農業地域にある。社会学的に見た時の自然村の特徴は、相互扶助など村民同士の心のつながりがあること、犯罪リスクの抑制、所得分配などセーフティーネットが機能しているところにある。

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