ニューヨーク市内のニュースを24時間休みなく伝えるケーブルチャンネル「NY1」。
私もNY1を頼りにしている1人である。日本ほどではないものの、ニューヨークの地上波のローカルニュースもバラエティー化が進み、アンカー同士の雑談に割く時間が増えている。息の合った掛け合いはそれはそれで楽しいが、短時間のうちに主要なニュースと天気をきちんと頭に入れようとするとNY1に軍配が上がる。
NY1は、記者がビデオカメラを持って1人で取材するビデオジャーナリズムの先駆的存在としても知られる。私は小回りの利くビデオジャーナリストの仕事ぶりを観察したいと思い、NY1に取材を申し込んだ。保険の問題があって記者の取材に同行するのは実現しなかったが、チェルシー・マーケット・ビルにある編集局において開局当初からのスタッフで現在はアンカーのローマ・トーレにインタビューし、NY1の生みの親の1人であるスティーブ・ポーラスにも質問をぶつけることができた。
ニューヨーカーのための報道機関

「NY1」アンカーのローマ・トーレ
NY1は「見るに値する唯一のローカルニュース」を局のキャッチフレーズとし、地域密着でニュースをストレートかつナンセンスなしに伝えるのをモットーにしている。ウィットを差し挟むのは最小限にとどめている。現在は、40人以上のフルタイムの記者が勤務している。
ニューヨークの地上波のローカルニュースでは、スタッフがお膳立てをした原稿を読むことしかできない美人の女性がニュースを伝えることがあるが、NY1ではそういうことはない。
トーレによると、ニューヨーカーは簡単にバカにされる人々ではなく、ニューヨークを愛し熟知している記者に親近感を抱く。だから、NY1はニューヨークをよく知り、ジャーナリストとしての基礎を習得している人を記者として採用している。この結果、美貌だけが取りえの人は生き残れず、仕事のできる記者が活躍の場を広げていくことになるのだという。
米国のテレビニュースで白人男性以外の人が活躍の場を見いだすのは、バラク・オバマが大統領になったとはいえ依然として不利な部分がある。だが、NY1は多彩な側面を持つニューヨークを反映した報道機関を目指しているため、様々なエスニシティーの記者を採用する。NY1に親しんでいる方なら、CNNに移籍したサンドラ・エンドウ記者をご記憶の方も多いだろう。彼女は日系2世である。特にクオータ(割り当て)制度を設けることはしていないそうだ。
NY1の記者は自らビデオカメラを持って取材に出かけ、リポートの文面を練り、編集作業も行う。このため、NY1の編集局では、ライザ・ミネリやフランク・シナトラの歌声で知られるNew York, New Yorkの歌詞をもじって、If you can make it on NY1, you’ll make it anywhere.という話になることもあるのだそうだ。
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