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「住宅購入は愛国的行動である」発言に賛否両論

内需拡大のためのスローガン「贅沢は“素敵”だ!」

2009年2月13日(金)

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 2009年1月初旬、安徽省の省都・合肥市のトップである共産党合肥市委員会書記(以下「市委書記」)の孫金龍は、合肥市の不動産市場の発展状況を視察すべく、合肥市の関係部門の責任者たちを引き連れて市内最大の土地開発事業である「濱湖新区開発プロジェクト」(以下「濱湖新区」)の現場を訪れた。

 濱湖新区は、合肥市の南部に位置する中国で5番目に大きい淡水湖「巣湖」に隣接する土地296平方キロメートルを開発して、行政区域、工業区域、住宅区域、観光区域を一体化した環境に優しい新都市を建設するもので、2006年11月15日に着工した壮大な計画である。ちなみに、東京23区の面積は621平方キロであるから、濱湖新区の面積は東京23区のほぼ半分に相当するわけで、そのスケールの大きさが理解いただけると思う。

だだっ広い空き地に浮かぶ「未来都市」のイメージ

 筆者は2007年7月に出張で合肥市を訪れた際に濱湖新区の建設現場を視察した。着工から8カ月目の現場は完成済みの舗装道路が縦横に走っていたほかは、先行して工事が進められている建設中の高層マンション群があるだけで、それ以外は整地された空き地が延々と続いていた。

濱湖新区ニュータウン完成予想図

濱湖新区ニュータウン完成予想図 (2007年7月筆者撮影、以下同)


 土地は国家所有の中国ではあるが、これだけ広大な土地から住民や農地を完全に排除するというのは共産党の一党支配だからこそできることなのだと筆者は妙に感心した次第である。

 濱湖新区内に建てられた立て看板に描かれた「濱湖新区ニュータウン完成予想図」は未来都市そのものであり、だだっ広い何も無い平地がかえって筆者に完成後の姿を生々しく連想させたものだった。

市委書記が視察中に住宅を購入

濱湖新区の中央を走る大通り。通りの両側は見渡す限りの空地

濱湖新区の中央を走る大通り。通りの両側は見渡す限りの空地

 さて、濱湖新区の現場で建設中の高層マンション群である“観湖苑住宅区”を視察した孫金龍市委書記は、建設会社の幹部から工事状況の詳細説明を聞き、細部にわたって疑問点などを質し、「工事は誠心誠意で全力を尽くし、新技術を導入し、管理を厳格にして施工品質を高く保ち、一般大衆が満足する住宅を建設せねばならない」と常套的な指示を与えた。

 その後、孫金龍は徐(おもむろ)に口を開いて「国家の内需拡大政策に呼応し、合肥市の建設と発展を支持するのを自らの行動で示すため、この観湖苑の住宅を購入する」と述べ、その場で広さ80平方メートルの住宅を1平方メートル当たり3000元強(約4万5000円)の価格で購入したのである。孫金龍市委書記が不動産市場の視察中に住宅を購入したことは地元のメディアを通じて大きく報じられた。

いかに国民の消費を拡大させるか

 従来輸出と外資に過度に依存することで高度成長を持続してきた中国経済は、世界金融危機の影響によりその成長速度を急激に減少しつつある。

 このため、中国政府は内需の拡大により経済構造をバランスの取れたものとすべく、4兆元(約60兆円)の景気刺激策を打ち出し、インフラ整備、災害復興、農村建設、生態環境保護などに資金を投入するとしているが、これら大型投資よりも重要なのは国民の消費を拡大することである。

コメント1件コメント/レビュー

とても面白いエピソードだと思いました。地域トップである市党委員書記のマンション購入即決と、市政府計画局長の住宅購入の愛国的勧めに対し、本当に紹介された様な支持派、批判派それぞれの主張が、ネットで行われたのなら、中国の言論の自由は想像以上のものではないか、と感じました。日本では大新聞がここまで突っ込んだ賛否両論や様々な意見を載せることはないし、週刊誌はスキャンダラスに書くだけだし。ネットは罵詈雑言を投げつける輩に占拠されているし。もし中国で大人の討論が堂々と展開されているなら、知の面でも急成長している様に思われる。(2009/02/13)

「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「「住宅購入は愛国的行動である」発言に賛否両論」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

とても面白いエピソードだと思いました。地域トップである市党委員書記のマンション購入即決と、市政府計画局長の住宅購入の愛国的勧めに対し、本当に紹介された様な支持派、批判派それぞれの主張が、ネットで行われたのなら、中国の言論の自由は想像以上のものではないか、と感じました。日本では大新聞がここまで突っ込んだ賛否両論や様々な意見を載せることはないし、週刊誌はスキャンダラスに書くだけだし。ネットは罵詈雑言を投げつける輩に占拠されているし。もし中国で大人の討論が堂々と展開されているなら、知の面でも急成長している様に思われる。(2009/02/13)

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