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中国は大丈夫か[49]留学生出身社長が日本に喝~チャイナ・パワーが日本を変える(2)

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2009年2月16日(月)

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 行く人あれば、来る人あり。中国が「世界の工場」になる過程で多くの日本人が中国へと渡った。その人たちが帰国したり、中国人作業員が来日したりすることで、日本の「内なる中国化」も始まった。日本への留学経験がある中国人や、中国から帰化した人たちの影響も大きい。

* * *

2002年9月23日号より

 世界経済が融合していく時代に、企業は中国という「現実」から目をそらすことはできない。中国進出だけが生き残りの道ではない。国内産業復活のカギは日本にあって中国を知る者たちの知恵を借りることだ。あなたの知らない、「内なる中国」の最前線へご案内しよう。=文中敬称略

(田原 真司)

 日本には世界一強いモノづくりの基盤がある。中国はまだ10年は追いつけない――。そう確信して、日本でベンチャー企業を起こした中国人がいる。

 孫大雄スンダーシオン(54歳)。ガラス上に極薄の金属蒸着膜(光学薄膜)を形成する真空成膜装置の開発製造会社、オプトラン(埼玉県川越市)の創業経営者だ。

文化大革命時、農村に8年間も下放された体験

 光学薄膜は、眼鏡のレンズやDVDプレーヤーのピックアップに組み込まれる鏡など、身近の様々な製品に応用されている。だが、オプトランの売り物は並の真空成膜装置ではない。

 最近の情報通信のブロードバンド(高速大容量)化に伴い、1本の光ファイバーに複数の波長の光信号を重ねて送るDWDM(高密度波長多重分割)というハイテク技術が注目を集めている。その中核部品であるDWDMフィルターの製造に欠かせない真空成膜装置を、日本で初、世界で3社目に実用化した。1999年設立の新興企業ながら、昨年は早くも37億円を売り上げた急成長ベンチャーだ。数年以内の株式公開も視野に入れている。

 孫は四川省成都市の生まれ。幼い頃、両親とともに江蘇省蘇州市へ移り、文化大革命の時代には農村に8年間も下放されるつらい体験をした。

 大学教育の再開後の78年、蘇州職業大学(現蘇州大学)に入学して機械工学を学び、卒業後は地元の国営製薬会社で製造機械の技師として働いた。しかし、もっと新しい技術を学びたいと87年に来日。埼玉大学の大学院で真空成膜の技術研究に取り組んだ。

日本だから起業できた

 91年、孫は日本の真空成膜装置メーカーの研究開発部門に入社。96年からはプロジェクトチームのリーダーとして、DWDMフィルター製造装置の研究開発に没頭していた。ところが志半ばで、会社がプロジェクト中止を決めてしまった。それが独立するきっかけになった。

 「自分はどちらかと言えば安定志向で、経営者になるより研究室にこもっていたい性格。しかし技術革新のスピードが速い中、日本企業の経営は保守的と感じていた。成功には自信があったので、思い切って起業しました」

 情報通信技術で最先端を行くのは日本ではなく欧米だ。研究者の層も厚い。実際、DWDMフィルター製造装置の実用化で先行したのは米国とドイツの老舗メーカーだった。一方、経営コストの面で考えると、日本より孫の母国の中国の方が、技術者の人件費や工場の家賃ははるかに安い。しかも孫には、米国にも中国にも起業を後押ししてくれる友人がいた。にもかかわらず、孫は起業の地に日本を選んだ。

 「日本には規模は小さいが、素晴らしい技術を持った部品メーカーがたくさんある。こんな優れたモノづくりのインフラは欧米には存在しない。中国もまだ10年は追いつけない。日本でなければ、これほど短期間で会社を立ち上げることは不可能だった」

最近の日本人は悲観的すぎる

 真空成膜装置は、高精度の金属加工部品や電子制御回路を約2000点も組み合わせたハイテク機器。それらの部品を、孫は東京都大田区や北陸地方などの約100社に発注して作っている。

 とはいえ、モノづくりの面を除けば、日本は必ずしも起業しやすい国ではない。邦銀は無名の新興企業に融資しないし、大企業に勤める優秀な技術者はベンチャーに転職したがらない。しかも、オプトランのDWDMフィルター製造装置は価格が1台1億円を超える。いくら技術力が高くても、実績のないベンチャーから、日本企業は高価な装置を簡単には買ってくれない。

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