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中国は大丈夫か[57]「暗黒大陸」に挑む先駆者~中国は物流で制す(1)

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2009年2月26日(木)

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 中国には既に世界の有力メーカーが出揃った。もはや「勤勉で安価な労働力」はライバルとの差別化手段にはならない。企業が注目するのは「物流」だ。道路や港湾設備といったインフラの整備は日進月歩。工夫次第で一気にコストダウンを進める余地が広がっている。

* * *

2004年9月6日号より

 「世界の工場」中国をサプライチェーンの要所と位置づければ、物流改革はグローバルな視点でのコスト構造改善にもつながる。中国には欧米の総合物流会社が相次いで進出しており、その力を借りる環境も整いつつある。変化を先取りすれば果実は大きい。生産、販売、アフターサービス…あらゆる面で、物流を制する者が中国を制するのだ。

(谷川博、香港支局 谷口徹也、ニューヨーク支局 山川 龍雄、山崎良兵)

 今春、中国福建省の省都、福州市から南に約700km離れた香港に向かって1人の男がクルマを走らせていた。男はすべての行程を脳裏に焼きつけるかのように、一心に前方を見つめている。路面の舗装状態が悪いせいか、時折、座席を通して振動が体に伝わる。その都度、男は顔をしかめた。

あまりの悪路に頭抱える

 香港に着いた頃には丸1日が経過していた。さすがに疲れたのか、ホテルの部屋で一服すると、急激な眠気に襲われた。ベッドに横たわり瞼を閉じると、旅の残像が浮かんでくる。「これではダメだ」。男はうなされるようにつぶやき、眠りに落ちていった。

 男の名は、中野洋樹。日立製作所でデジタル製品を扱うユビキタスプラットフォームグループに属している。もともと生粋の営業マンだが、2年前から同グループで物流改革を任された。

 現在は福州工場で生産した液晶プロジェクターを欧州の販売代理店に、いかに効率よく届けるかに知恵を絞っている。福州からクルマを走らせてみたのも、経由地である香港までの道路状況や配送時間を確認するため。そして、輸送中に製品が破損しかねない、あまりの道路事情の悪さに頭を抱えた。

 中野が初めに描いたプランでは、そもそも中国での物流は想定されていなかった。液晶プロジェクターを生産するのは岐阜工場。これを前提に、販売会社を省いた代理店直送体制を構築することが当初のミッションだった。

旬を逃すわけにいかないデジタル製品

 直送の最大の狙いは、需要のあるところに素早く製品を供給することだ。メーカー間の競争が激しいデジタル製品の場合、旬の販売機会を逃すと、あっという間に値崩れが進んでしまう。日本から欧州の販売会社に約70日がかりで製品を海上輸送し、そこから各地の代理店に送る従来の物流では、そうしたリスクが避けられなかった。

 そこで中野が考えついたのが、欧州の総合物流会社、DHLと手を組み、製品を航空便で直接代理店に届ける方法だった。2年間の試行錯誤の末、今春ようやく岐阜工場から欧州代理店への96時間以内の配送を実現した。

 ところが、である。新しい体制にメドがついた矢先、液晶プロジェクターの主力生産拠点が岐阜から福州に移ることが決まった。この10月以降は、多くの製品を福州工場から欧州の代理店に出荷することになる。

生産コストの低減だけを求めるのは間違い

 福州には国際空港がないため、製品の積み出しに香港の空港を使わざるを得ない。これだけでも納期短縮を目的としたプロジェクトにとってはマイナスだが、さらなる課題も浮上した。福州から香港までの製品輸送だ。スピードを重視すれば、トラックによる陸送が一番だが、中野が自ら行程をクルマで走ってみた結果、この方法では危険が大きすぎることが分かった。

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