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乾燥地帯の貧村を襲う大干ばつ

お天道様任せの農業に、金融危機が追い打ち

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2009年3月2日(月)

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経済観察報記者 / 鄭チョ

廬徳虎(ルー・ドゥフー)の一家は、苦しい境遇に追い込まれている。金融危機の影響で、彼は江蘇省蘇州市のある電子工場を解雇され、故郷に戻ってきた。ところが、実家で作っていた冬小麦は干ばつの被害に遭い、広さ7ムー(約47アール)ほどの麦畑は一面黄色く枯れていた。これから雨が降ったとしても、収穫はせいぜい例年の半分だろう。

 ここは河南省の西北部にある小さな山村。中国でも干ばつの被害が深刻な地域の1つだ。廬の一家が住む三門峡市窯院村の一帯は、昔から「六山三丘一分平(山が6割、丘が3割、平地は1割)」と言われる土地である。

 黄河の中下流の平原地帯では、灌漑用水のおかげで1日当たり100万ムー(約6万7000ヘクタール)余りの小麦畑が生気を取り戻している。しかし(灌漑設備がなく)長年雨水に頼ってきた山間部では、水不足の状況は一向に変わらない。今や窯院村では飲料水の確保すら難しくなっている。廬の実家の井戸はすでに枯れ、隣村まで飲み水をくみに行かなければならない。

雨を待つほかに打つ手なし

 村人たちは、麦畑の手入れにあまり精力を注いではいなかった。マスコミで報道されているような、人民解放軍の部隊まで動員してバケツリレーで灌漑するような熱意はさらさらない。「いつもの干ばつ」から「大干ばつ」へと事態が深刻化していった数十日間、窯院村では何の対策も取らなかった。彼らにできることはただ1つ、雨を待つことだけだった。

 陝西省東部と河南省西部の黄河流域は、中国で最も古くから小麦の栽培が行われてきた地域である。かつてこの一帯は雨量が豊富で、当時としては高い農業技術により多くの人口を養い、中国農業文明の発祥の地になった。

 しかし、時の流れとともに天候が変化し、干ばつが豊潤な農地を荒れ地に変えていった。水利技術が発達すると、小麦の生産は灌漑に向いた黄河下流の平野部へと徐々に移動し、上流の山間部は穀物生産地区としての地位を徐々に低下させた。

 今日の三門峡市は、「十年九旱(10年のうち9年は干ばつ)」と言われるほど雨の少ない、典型的な乾燥地農業地帯である。「お天道様任せ」の農業は、窯院村では至極当然のことだ。村人たちは、小麦の種をまく時に畑を耕し、肥料を1回施した後は、ただ穂が実るのを待つだけである。天候が順調なら、1ムー(約6.7アール)当たり500~600斤(約250~300キログラム)の小麦が取れる。しかし今年のような干ばつに遭うと、収穫量は5割以上も減少してしまう。

 廬一家の場合、昨年の冬小麦の収穫は悪くなかった。それでも、自家消費分と化学肥料や種のコストを除くと、利益はわずか2000元(約2万8000円)余りにしかならない。小麦作りにこれ以上の精力をつぎ込まなければならないなら、廬は耕作の継続をあきらめてしまうかもしれない。

農業より出稼ぎが主な収入源に

 黄河流域に限らず、灌漑設備がある地域の穀物の収穫高は(灌漑設備のない)乾燥地帯の5倍前後もある。窯院村のようなお天道様任せの農村では、小麦作りを補助的な家計収入としか見なさなくなってしまった。昨年、廬は(出稼ぎ先の)蘇州から8000元(約11万2000円)を持ち帰ったが、これは一家の農業収入の2倍に当たる。

 乾燥地帯では、(貯水池などから水をくみ上げる)揚水式灌漑への意欲はもはや決して高くない。黄河流域の小麦栽培地区で(水路の傾斜を利用した)自流式灌漑の面積は5029万4000ムーと、大規模灌漑地区の面積の91.8%を占める。一方、揚水式灌漑の面積は450万8000ムーと、8.2%を占めるに過ぎない。ある程度スケールメリットを見込める大型農場でなければ、揚水式灌漑のコストを吸収できないからだ。

 麦の苗が枯れてしまった窯院村の哀れな光景には心が痛む。だが、山の斜面の下にある三門峡ダム湖は、麦畑から直線距離でたった200メートルしか離れていない。にもかかわらず、村人たちはいくばくかの収入を増やすために揚水ポンプを買う意欲はないし、他から借りてこようともしない。

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