Ian Rowley (BusinessWeek誌、東京支局特派員)
米国時間2009年2月25日更新 「Relief in Japan as Gaffes Weaken Yen」
2月14日にイタリアのローマで開催された主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で醜態をさらした中川昭一前財務・金融担当相(55歳)は一躍、世界中の注目を浴びる時の人となった。米グーグル(GOOG)傘下の動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」に投稿された酩酊状態の会見の動画は即座に注目を集め、大人気となった。
金融危機の暗いニュースが続く中、息抜きとなるような軽い話題を探していた世界中の報道機関が“酩酊会見”をこぞって報道したため、中川氏の知名度はさらに高まることになった。しかし国内では、中川氏は「風邪薬の飲みすぎが原因」と釈明したものの、醜態への厳しい批判は収まらず、2月17日に辞任に追い込まれた。
だが、そろそろ中川氏を少しは寛大な目で見てもよいのではないだろうか。記録的な支持率低下にあえぐ麻生太郎首相が中川氏に一杯おごることは当面なさそうだが、中川氏の失態は、日本経済が直面する問題と脆弱な麻生政権に世界が目を向けるきっかけとなった。
一見、朗報とは思えないことだが、おかげで投資家が円について考え直すようになったのだ(最近行われたある世論調査では、麻生首相の不支持率は80%だった)。皮肉にも、投資家が日本の現状を認識したことが、低迷する日本経済にプラスに働いたかもしれないのだ。
世界的な金融危機の中、比較的金融システムが安定している日本は資金の安全な避難場所というのが、最近までの投資家の共通認識だった。そのため、昨年は円が大きく買われ、12月には対ドルで13年ぶりの高値水準となった。
世界的な不況で既に打撃を受けていた日本の輸出企業は、最も苦しい局面にある中、円高による著しい競争力低下に見舞われることになった。さらに悪いことには、世界各国の経済も低迷する状況下で、麻生政権には円安誘導に有効な手立てがほとんどないのだ(BusinessWeekチャンネルの記事を参照:2009年1月22日「日本政府が円高を静観するワケ」)。
例えば、政府が為替介入しようとしても、2004年の前回とは異なり、米政府に受け入れられる見通しは少ない。実際、バラク・オバマ米大統領が麻生首相を外国首脳として初めてホワイトハウスに迎えた2月24日、オバマ新政権は日本政府による円安誘導を歓迎しない意向をはっきりと示した。麻生首相がおみやげに持参した福井県小浜市名産の塗り箸も、新大統領の心を動かすには至らなかったようだ。
円安が進行
ところが、中川氏は期せずして、政府の為替相場操作術を解説する書物に新たな1章を加えることになったのかもしれない。中川氏の醜態が世界各国で報道されてから、円は主要通貨に対して下落しているのだ。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。




Bloomberg Businessweekは米ブルームバーグ社が発行するビジネス雑誌である。1929年、大恐慌の年に創刊されて以来、世界中に読者を拡大してきた。現在の読者数は約470万人を誇る。本コラムではBloomberg Businessweek誌および





