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オトナの社会科見学、核シェルター篇

「冷戦遺産」の活用法

  • 白土 晴一

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2009年3月10日(火)

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 コロラド州シャイアンマウンテン基地は、花崗岩の岩山をくりぬいて作られた巨大な地下施設であり、メガトン級の核爆発にも耐えられるという世界有数の大規模な核シェルターでもある。

 かつては、アメリカとカナダの統合防空組織である北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の本部が置かれ、冷戦期にはソ連の爆撃機や大陸間弾道弾を24時間体制で監視する重要拠点として、核戦争の最前線を担っていた。

 ところが、その運用の非効率さが問題視され、2006年に本部機能はピーターソン空軍基地内の地上施設に移転。現在は、稼動可能だが緊急事態が起こるまでは待機という「warm stand-by」という予備的な形で維持される基地となってしまった。

 こうし状況はカナダ側でも同じで、NORADの一翼を担ってきたオンタリオ州ノースベイ空軍基地内にある、通称「Hole」と呼ばれた地下シェルター施設も、現在はシャイアンマウンテン基地と同じく「warm stand-by」の状態で保存されている。


【Norad Bunker】

(カナダ放送協会CBSTVのYouTubeチャンネルより)

メガトン級核兵器の衝撃にも耐える巨大地下基地も、経費削減の流れには耐えられなかった!これほど大規模な施設を維持できたのも、核の恐怖があればこそ・・・。

 考えてみると、世の中には「冷戦遺産」とでもいうべきものがけっこう残っている。

全長17km、冷戦の緊張が創りだした偏執狂的モニュメント

 40年以上も続いた共産主義と資本主義の対立には、ケタ外れの資本と労力が投入されており、当時建設された施設や設備には、パラノイア的なものを感じさせる大規模なものが多い。こういうものは、冷戦を伝える歴史的な遺産として後世に伝える価値があると思う。

 欧米政府が建設に狂奔した巨大な核シェルターは、その最たるもの。

 1991年のソ連解体で冷戦が終結すると、こうした大規模なシェルターは整理・縮小せざるを得なくなっていった。

 例えば、72年に旧西ドイツ政府は、ボン南方のアールバイラー近郊の古い鉄道トンネルを利用し全長17kmにも及ぶ政府専用地下シェルターを建設させたが、89年のベルリンの壁崩壊後はあまり意味のない施設となってしまい、今では歴史を伝えるための博物館として一部を公開するのみになってしまった。


【Reusing an old nuclear shelter in Germany】

(「France24」のYouTubeチャンネルより)

ベルリンの壁崩壊は、巨額の国家予算を投入した地下シェルターの価値が崩壊する事件でもあった。

 かつて、国民保護のために各世帯に核シェルター設置を義務付けたスイスでは、地方自治体が住民用シェルター建設も主導してきたが、その維持費が嵩んでしまい、地方財政を圧迫する原因の一つとなっているらしい。

激安ホテルに改装されたシェルター

 そのため、ザンクト・ガレン州セベレンでは、使わなくなったシェルターを積極的に開放し、「Null Stern Hotel」、つまり「星無しホテル」と名付け、安い宿泊施設として再生させる試みがなされている。

参考映像
【Bunk down in "Zero Star" Cold War hotel】

(AFPニュースのYouTubeチャンネルより)

宿泊代の高いスイスでは、安い核シェルターホテルは若者などを中心に需要があると予想されている。ユースホステルには勝てるのだろうか?

 お次は本家? アメリカ。ウェスト・ヴァージニアにあるグリーンブライアホテルは1778年に創業され、スイスの「星無しホテル」と違い、「モービル・トラベル・ガイド」では四つ星を付けられる高級リゾートホテルである。

 しかし、この敷地内にも、冷戦時に巨大な地下核シェルターが建設されている。
 これは、核戦争勃発に際して米連邦議会を移転させるための極秘計画「プロジェクト・グリーク・アイランド」で基づくもので、1962年に完成したシャルターには議員や議会職員など1000人以上が収容可能という巨大な代物であった。

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