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「断言します。仕事さえあれば人は変われます」

殺人多発地帯、WATTSをゆく【後編】

  • 林 壮一

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2009年3月12日(木)

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 2009年1月、日本の完全失業者は277万人を数えた。1年前より、21万人も増加したことになる。

WLCLCの入り口板

WLCLCの入り口

 人が仕事を失うことで生まれるものとは何か。それを知るのに最適な場所がある。全米有数の危険地帯であるロスアンゼルスのWATTSだ。

 前回紹介したように、日本人どころかロス市民さえも足を踏み入れないこの場所は、失業が貧困を生み、犯罪につながっていく恐ろしさと哀しさを、いやというほど我々に思い知らせてくれる。

 そんなWATTSを、何とか住みやすい地にしようと地道な努力を続けている「WLCAC」なる団体がある。その代表者、ティモシー・ワトキンスをインタビューした。

*    *    *

 ワトキンスは1953年6月20日生まれの55歳、黒人にしては白に近い「スタンダード」と呼ばれる肌の色をしている。肌について訊ねると、彼は早口で語った。

ティモシー・ワトキンス氏

ティモシー・ワトキンス氏

「私は黒人ですよ。母親が白人なので若干色が薄いかな。日本人と黒人のハーフも、こんな色でしょう。

ブラック・ジャパニーズはブラックじゃなくて、“ジャパニーズ”ですよね。でも、私はブラックです。南アフリカの白い血が入っていますが、アメリカに生きるアフリカン・アメリカンとしての誇りを感じています」

 ワトキンスは生まれも育ちもWATTSであった。

「今でもこの近所に住んでいます。ここは109ストリートですが、私の住まいは88ストリートにあります。WATTSというのは、たった1マイルのスクエアなんです。小さなエリアなのに、名前だけは世界中で最も有名な場所のひとつに挙げられるでしょう。

私自身が犯罪に手を染めたことは1度もありませんし、殺人事件など見たこともない。でも、この地区で起こる事件や問題は、ニュース番組や映画、様々なメディアから伝わる情報で当たり前のように入って来ます」

――そんな故郷を、あなたはどのように表現しますか?

「良い土地ではない・・・非常に危険であり、貧しい地区です。住民たちが飢えている。暮らすことが難しいエリアですね。私としては、ここで一アメリカ市民として生活できるよう、まず住民の健康をケアしたいと考えています。

WATTSの貧困住宅

WATTSの貧困住宅

だからこそ私は、地域社会向上策に力を注いでいるのです。治安を良くして仕事を作って、人々が安心して生活できる土地にしていかねば」

 WATTSの代名詞である2度の暴動について訊ねた。

「1965年当時、私はまだ12歳で幼かったし一体何なのか理解できませんでした。ポリスが人に向けて発砲する姿など、見たことも無かった。人と人が争い、互いに傷を負わせて街を破壊していく。ただただ、恐ろしかったと記憶しています」

ここは、自治体からも見放された場所

 ワトキンスは冷静に言葉を続けた。

「結局、警官の黒人に対する言動が何も変わらないから起こったのですよ。この国で黒人たちは、ずっと差別を味わって来ました。リンチを受けたり、ロープでトラックに括られて引きずられたり、ガンで撃たれたり・・・とね。

1965年以降、ポリスの立ち居振る舞いはさらに酷くなりました。毎日毎日、嫌がらせのように住民のボディチェックをしたり、敵意剥き出しといった調子でプレッシャーをかけ続けた。本当に水を沸騰させるようにです。積りに積った黒人たちの怒りが爆発し、暴れたのです。だから1992年の暴動は、ポリスのプレッシャーに抗うべく起こったモノと言っていい。

1965年は〈ロス暴動〉で、1992年は〈WATTSの暴動〉だと、政府やメディアは呼びます。『ロスを訪れるのは大歓迎です。でもWATTSは危険だから近付かないように』なんて平気で主張してくれますよ。人が寄り付かなくなったわけですから、土地の価格がどんどん下がっています。WATTSはね、自治体であるロスアンゼルス市に見放された場所なのです」

 ワトキンスの父親はそんなWATTSに居を構え、自動車工場の組み立てラインで働いていた。6人きょうだいという子沢山の家庭だった。

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