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ロシア・グルジア、国家のメンツを賭けた「歌合戦」の結末は

  • 白土 晴一

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2009年3月24日(火)

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 近年では視聴率の低迷が囁かれる紅白歌合戦だが、それでも大晦日には多くの日本人の注目を集めている。だが世界は広い。世の中には、数十カ国の代表がそれぞれの国家のプライドを掛けて戦う大規模な歌合戦が存在する。しかも、それだけ大きな国際歌合戦だと、いろいろとややこしい政治問題まで起こってしまう。

 今回はその「大きな歌合戦」と、その出場をめぐって起こった国家間のイザコザをご紹介しよう。

 「大きな歌合戦」とはすなわち、1956年に始まったユーロビジョン・ソング・コンテストのことだ。欧州放送連合(EBU)に加盟している各国で行われる予選を勝ち抜いた曲を歌うアーティストたちが、毎年5月に開催される決勝戦に一堂に会し、生放送されるパフォーマンスを視聴者の電話投票などで評価、順位を決定するという世界最大級の音楽コンテストである。


【Eurovision Song Contest: You make it happen】

(ユーロビジョンYouTube公式チャンネルより)

投票を視聴者に訴えるユーロジションの広告。投票率低下を問題視するどこかの国よりも熱心な告知が行われている。

 なに、そんなイベント聞いたことがない? 確かに日本ではイマイチ知名度がないが、編集された録画放送を含めると世界140カ国で放送され、最終的には10億人以上が視聴し、時には6億人が投票に参加することもあるという巨大イベントであり、コンテストの優勝者の中には、74年スウェーデン代表だった「ABBA」や88年スイス代表だった「セリーヌ・ディオン」など、現在では世界的に評価されているアーティストも多いのだ。


【ABBA sings "Waterloo"】

(ユーロビジョンYouTube公式チャンネルより)

最近でもミュージカル「マンマ・ミーア」などで人気を保っている「ABBA」も、ユーロビジョン優勝がキッカケで知名度を上げた。

 その熱狂ぶりやナショナリズムの高揚ぶりは、サッカーのユーロ選手権に匹敵し、勝敗を決める視聴者の投票方法を巡るルール決定には、各国間の政治力が絡むと言わるほどである。大人げないことはなはだしいが、実はこのイベントが現在、本当に国家間の緊張を招いているのだ。

 今回はそんなお話。舞台はロシアとグルジアである。

「プーチンなんていらないぜ」とモスクワで歌えるか?

 グルジアでは、今年の代表を決定する予選(ユーロビジョンに参加するアーティストは、まず国内で開催される予選を突破しなければならない)が2月15日に首都トビリシで開催された。優勝したのは音楽プロデューサー・歌手として有名なStephane Mgebrishviliと、女性ボーカル3人(Nini Badurashvili、Tako Gachechiladze、Kristine Imedadze)のポップグループ「3G」とのユニットである「Stephane & 3G」。

 「3G」は、昨年のグルジア予選で「I'm Free」という曲で惜しくも4位で敗退したグループであり、グルジア代表となってもおかしくない実力を持っている。

 しかし、彼らが歌ったディスコミュージック調の曲が国際問題に発展してしまったのである。

 曲のタイトルは、「We Don't Wanna Put In」。


【GEORGIA: [WITHDRAWN] Stephane & 3G "We don't wanna Put in"】

(ロシアESC2009TVのYouTubeチャンネル)

開催地モスクワで運営されているチャンネルなので、もしかしたら削除される可能性もある。その際はご容赦を!

 「我々はPut Inなんていらない!」という意味だが、英語の「Put In」は「プーチン」(Putin)と言っているようにしか聞こえない。おそらく誰が聞いても、「プーチンはいらない!」と連呼して、元ロシア大統領、現首相のウラジミール・プーチン氏を揶揄している歌と思うだろう。

 それだけではなく、グルジアのNATO・EU加盟にロシアが反発しているのを逆なでするように「すべてのヨーロッパの国が好き、ヨーロッパを愛している」という歌詞を入れ、昨年勃発した南オセチア紛争で国内に侵攻したロシア軍を批判するように、銃を頭に突きつけて倒れる動きを取り入れるなど、明らかにロシア批判を意図して作られた曲だったのである。

 つまり、国際的な音楽イベントであるユーロビジョンのグルジア代表に、反ロシアの歌が選ばれてしまったのだ。しかも、毎年持ち回りのユーロビジョン決勝戦の開催地が、今年はよりによってロシアの首都モスクワにある、オリンピックスタジアム。

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