読者の皆さんがこの記事をご覧になる頃、筆者はケニアのナイロビにいるはすだ。
3月14日、ソマリアの海賊から日本の船舶を守るために海上自衛隊が呉から出港した。昨年11月、海自の派遣が突如決まって以来、世論はソマリア近辺の海域がいかに危険か、注目している。
しかし筆者は、人道支援の観点からもソマリアを捉えている。そして、「無政府状態」ということの意味を頭に描き、ソマリア国内がいかなる状態になっているか、知りたくなってきた。
今年1月に、「オバマ政権のアキレス腱はソマリアか」を書き終えた時、筆者はソマリア行きを決意し、ソマリアに入るためのルート探しと、情報収集を始めた。
武器製造国から武器消費国へと続く街道筋
今、筆者の目の前に世界地図がある。日本を最も右側に寄せ、東アフリカとアラビア半島を目の前に置いてみる。インド洋側に角のように突き出ているのが、ソマリアだ。
アフリカ大陸の西のはずれには、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア、コートジボワールなど近年内戦を繰り広げている国々がある。そこからソマリアまでは、東西を一直線に結ぶことができる。チャド、スーダン、エチオピアなど現在紛争真っただ中の国々が途中にある。
ソマリアから北へ眼を転ずれば、イエメン、イラク、イラン、ドバイ、そしてアフガニスタン、パキスタンと道は続く。
これが“違法街道”だ。この道をたどろう、と思った。
パキスタンには、小型武器を中心に武器を製造する地域がある。隣接する中国もロシアも東欧も、武器を製造している。それらを、西へ移動しながら売りさばく武器商人の姿が頭に浮かんだ。
ソマリアに関連する国連安保理理事会の決議案は、2006年を中心にこれまで何本も出ている。これらを読み始め、同時にセキュリティー関連の知人と連絡を取り、ソマリアに入国するのに必要な、現地コンタクトを探し始めた。ソマリア海賊の実態をこの目で見ようと思ったのである。
いくつかのルートを通じて、「ソマリアに入って、海賊関連情報や人道支援関連の情報を入手したい」と希望を投げかけたところ、知人たちは一斉に協力を始めてくれた。全員が、それぞれ全く別の土地で、別のタイミングで知り合った、国籍も様々な人たちだ。彼ら彼女らは、「スズカがやるなら協力しよう」と、無償で引き受けてくれた。
「自分の知り合いでソマリアに行ったことがある者がいるから、現地情報を聞いてみよう」「ドバイで武器を商っている友人がいるから、会ってみるといい」「海賊専門家が某国にいるから、紹介しよう」「ソマリアにこんな人がいる、とにかく連絡を取ってみるといい」など、次々に知己をつないでくれた。
こうして、3月上旬に旅程が決まった。
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1958年生まれ、法政大学大学院修士課程修了。スウェーデン国防軍国際センター民軍協力コース修了。広告代理店、出版社勤務を経てフリージャーナリストとして独立。1989年より国際協力の取材を始め、現在では世界の紛争地に赴くかたわら、発展途上国の開発・援助政策、コミュニケーション戦略を作成する。拓殖大学国際学部非常勤講師も務める。







