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“落ちこぼれた生産力”は救済すべきか、淘汰されるべきか

温家宝の反対を知りながら胡錦濤が支持した、広東省の「経済モデル改革」

2009年3月27日(金)

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 中国で使われる言葉に“騰龍換鳥”というのがある。この「龍を放って鳥に換える」という言葉は、龍のような貴重な物を解き放って鳥のような無価値な物に取り替えることで「無意味で愚かなことをすること」を意味する。

 ところで、この“騰龍換鳥”をもじって、“龍”を同じ発音の“籠”に差し替えて作られた言葉に“騰籠換鳥”というのがある。この「籠(かご)を空けて鳥を換える」という言葉は、鳥籠の中の古い鳥を解き放って新しい鳥に取り替えることで、「古きを捨てて新しきに就く」を意味する。

迫られる、経済モデルの改革

 1978年12月に鄧小平によって提唱された「改革開放」政策の先駆けとなった珠江デルタ地域や長江デルタ地域は、80年代から90年代中頃まで隆盛を誇っていた「アジアの四小龍」(香港、韓国、台湾、シンガポール)から移転して来た加工製造業を次々と受け入れたことで、靴、玩具、衣料品、コンピューター部品などの労働集約型製品の分野で世界の生産基地となった。

 しかし、二十数年の歳月を経た今日、豊富で低廉な労働力や低コストといった優位性は徐々に喪失し、こうした従来の経済モデルは効果がなくなり、改革を余儀なくされているのである。

 旧態依然とした経済モデルの改革を目指す動きは2005年頃から広東省や浙江省で提起され始めたが、そのスローガンとなったのが“騰籠換鳥”であった。

 古い経済モデルから脱却して新しい経済モデルに衣替えするということは、「大量の餌で少量の卵しか産まず、しかも遠くまで飛べない」鳥である粗放型の成長方式を変えて、「少ない餌で多くの卵を産み、なおかつ遠くまで飛べる」良い鳥を育てる余地を持つ新しい成長方式とすることを意味する。

「鳥」と「籠」の経済論

 話は横道に逸れるが、中国の国家開発銀行の“行長”(頭取)を務める陳元は典型的な太子党で、父親は共産党内の保守派の重鎮として鄧小平(1904~97年)と対立した陳雲(1905~95年)である。この陳雲が改革開放政策の中で提唱したのが“鳥籠経済理論”(日本語では「鳥籠経済論」)である。

 これは「籠」を計画、「鳥」を市場に見立てて、市場を計画の枠内に閉じ込め、「計画経済を主とし、市場調節を補助とする」とするものであった。この鳥籠経済論は1992年に鄧小平が批判したことで敗れ去り、現行の「社会主義市場経済論」に取って代わられることとなる。

 なぜか中国では経済論を語る時に「鳥」と「籠」を引き合いに出すことが好きなようだ。朝の公園には鳥籠を持った人々が三々五々集まり、思い思いの木の枝に鳥籠を掛けて自慢の小鳥の鳴き声を競っているが、こうした優雅な文化がそれだけ庶民の生活に浸透しているということなのかもしれない。

広東省がハイテク企業の誘致を図る理由

 話は本題に戻る。珠江デルタ地域の加工貿易を主体とする“大進大出”(大量に輸入して大量に輸出する)生産方式は、大量の土地、資源、労働力を消耗させ、水・電気の供給を緊迫したものとし、交通渋滞を出現させるなど都市に多大な負担を強いるものであった。これは当該地域の企業の発展を大きく制約するものであると同時に外国の優良企業の進出にも障害となった。

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「“落ちこぼれた生産力”は救済すべきか、淘汰されるべきか」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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