Kenji Hall (BusinessWeek誌、東京支局テクノロジー担当記者)
米国時間2009年3月16日更新 「Innovation: Shimano's Bicycle Parts Get Smart」
昨年4月、国内自転車部品最大手シマノの技術者チームは、電動ディレイラー(自転車用変速機)の試作品を引っ提げてフランスに乗り込んだ。重要な顧客層であるプロの自転車レーサーに試作品を試してもらうことが目的だった。
試乗の舞台は、欧州で最も過酷な自転車レースの1つ「パリ・ルーべ」。フランスの村々を走り抜けてゆくこのレースは、総距離が259キロメートルに及び、激しい振動に耐えて走る石畳道路のコース区間が28カ所もある。
その前年までの試作版では、シマノの電動変速機はまだ力不足で、変速タイミングがずれたり、故障したりする結果に終わっていた。だが、シマノの技術陣は、今回の最新の改良版は過酷なレースにも耐えられる性能を持っていると期待を寄せていた。
技術チームリーダーの藤井和浩氏は、「重要な目標の1つは、難関レースのパリ・ルーベでの使用に耐える頑丈な変速機を作り上げることだ」と話していた。
このレースで、藤井氏らの目標は達成され、シマノの電動変速機は現在、「Dura-Ace(デュラエース)7970 Di2」の名で米国市場に投入されている。
1月に発売が開始されたこのDi2は、一見すると、従来の自転車用変速機と変わらない。だが、ギアチェンジの制御方法は、金属製ケーブルを介する方式ではなく、ゴムで覆われた電線を通じてコンピューターチップ内蔵の電動変速機に電気信号を送る方式になっている。
シマノによれば、最新型のDi2は動作時間が短くなり、重さも旧型デュラエースと比べて67グラム(約3%)軽くなった(チップ、小型モーター、バッテリー重量で68グラムの軽量化を実現)。また、ギアシフトが非常に正確なため、チェーンの脱落はめったに起こらず、整備調整も不要だという。
シマノは、世界的な不況下でも、このDi2でブランドの注目度を高めたいと考えている。アナリストらによれば、ここ数年、ロードバイク(スポーツ用自転車)市場は、プロの米自転車ロードレーサー、ランス・アームストロング選手が自転車ロードレースの最高峰「ツール・ド・フランス」で前人未到の7連覇を達成した効果で活況を呈しているという。
純利益約250億円のシマノは、自転車業界では最大手だ。公式データはないが、アナリストらの推計では、世界の自転車の7割がシマノ製のギアや変速機、クランク(ペダルの動きを伝える機構部品)などの部品を使用している(シマノの総売上高の8割近くが自転車部品によるもので、残りは釣り用品、ゴルフ用品、キャンプ用品の売り上げが占める)。
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