「茂木崇の「タイムズスクエアに魅せられて」」

こんな番組があるから株式投資は熱い

投資指南番組の人気ホスト、ジム・クレイマーの素顔

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2009年3月27日(金)

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 元ヘッジファンド・マネジャーのジム・クレイマーがホストを務めるCNBCの投資指南番組「マッド・マネー」。クレイマーが金融市場について熱く語る番組である。

ジム・クレイマー氏
CNBCの人気の投資指南番組「マッド・マネー」のホストを務めるジム・クレイマー

 「CNBCはなぜマーケットに影響力を持つのか」の取材でCNBC本社を訪ねた時、「クレイマーに興味はあるか?」とCNBCの広報責任者に聞かれ、何と答えたものか私は一瞬迷った。興味は非常にある。カルト的人気を誇る人だ。だが、彼は感情が爆発すると机をドンドン叩くは、セットを投げるは、おっかないところがある。下手な質問をして怒鳴られはしないだろうか。

 とはいえ、このチャンスを逃すのはもったいなく、CNBC本社に再び出かけて番組の収録を見学し、恐る恐るインタビューもしてきた。

投資指南番組「マッドマネー」、銘柄をショー形式で分析

 「マッド・マネー」は平日の午後6時から1時間放送され、午後11時から再放送される。日経CNBCでは放送されていない。

 収録は午後4時から1時間半ほどかけて行われる。クレイマー1人のワンマンショーで、収録中はワイシャツにネクタイ姿で通している。カメラはクレイマーをなめるように撮っていく。

 デスクの横には多数のブザーがあり、クレイマーはブザーを押しながら番組を進める。歓喜の時は「Hallelujah!」のブザー、この銘柄は売りという時は「Sell! Sell! Sell!」 のブザーという具合である。

 番組は1日に複数のテーマを取り上げ、中ほどに視聴者からの投資相談の電話に矢継ぎ早に答えるライトニング・ラウンドというコーナーを置いている。視聴者とクレイマーは「ブーヤー」と挨拶するのがお約束。

 クレイマーは「クレイメリカにようこそ」「他の人はお友達作りをしようとするが、私はあなたにお金を儲けてもらいたい」「私の仕事は楽しませるだけではなく、あなたを教育して差し上げることなのだ」と前口上を述べ番組を始める。

 私が見学した日は、最初にペプシコとコカ・コーラ・カンパニーの株のどちらに投資すべきかについて扱った。

 クレイマーは、ペプシとコカ・コーラを書き込んだホワイトボードに、チェックポイントごとに1から10までの点数を書き込みながら話を進める。

 1株いくらかを比較しても無意味だという初歩的なポイントから始まり、海外市場における成長に関しては、ペプシの方が成長の見通しが良いと指摘する。そして、ペプシとコカ・コーラの味の違いは大きくないことを示そうと、目隠ししてペプシとコカ・コーラを飲み比べた。ここで答えが外れないとまずいのだが、クレイマーは言い当ててしまった。やらせをしていないとはいえ、ミスである。

ジム・クレイマー氏

 クレイマーは素早く体勢を立て直して両者の比較を続け、ペプシコはスナックとソーダの会社でコカ・コーラはソーダの会社であること、コカ・コーラはウォーレン・バフェットが大株主でハロー効果があることなど、様々な角度から分析していく。結局、勝者はペプシコだった。

 次に取り上げたのは、オライリー・オートモーティブ。自動車の購入もリースも落ちていて古い車のメンテナンスの需要が増えており、成長予想からすると株価が割安だという理由から同社の株を高く評価する。

 最後に扱ったのは、ウェルズ・ファーゴ。収録前にジョン・スタンフCEO(最高経営責任者)にインタビューを済ませており、その模様を放送した。

 番組の締めくくりはサドゥン・デス。時間の許す限り、視聴者からの質問に答えた。

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著者プロフィール

茂木 崇(もぎ・たかし)

茂木 崇

1970年生まれ。東京工芸大学専任講師。専門はマス・コミュニケーション論、アーツ・マネジメント論で、守備範囲はニューヨークの新聞・雑誌・テレビ・デジタルメディア・広告・音楽・ブロードウェイ。1年のうち2カ月ほどをニューヨークでの取材と調査にあてている。



このコラムについて

茂木崇の「タイムズスクエアに魅せられて」

 世界の文明の十字路、米ニューヨーク・タイムズスクエア。この地に魅せられ、研究を重ねる筆者が、米国のメディア、エンターテインメント、ファッション産業などについて、縦横無尽にテーマを選び、最新動向をリポートする。

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