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中国オートバイ産業の黄昏

金融危機で輸出激減、国内市場は補助金頼みの内憂外患

2009年4月6日(月)

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中国摩托車業式微

財経記者 トウ海

 表情は疲労困憊し、肩は重圧に押しつぶされそうだった。2009年2月12日、重慶市の大手民営オートバイメーカー3社の経営トップが、内憂外患の中で生き残りをかけた会談に臨んだ。話し合いの焦点は、「摩托車下郷」(編集部注:中国政府による内需拡大策の一環で、農村部でのオートバイ販売に補助金を支給する政策)の入札でいかに過当競争を避けるかだった。

 会談の1カ月前に国務院(政府)が出した通達で、オートバイは2月から「家電下郷」(編集部注:農村部での家電製品販売に補助金を支給する政策。2007年末から対象製品と地域を限って導入され、今年2月から全国に拡大された)の対象に組み入れられた。「家電下郷」の対象地域に住む農民が指定商品リストに掲載されたオートバイを購入すると、販売価格の13%(上限は650元=約9500円)が国家財政から補助される。

安売りの消耗戦回避へ“歩み寄り”

 隆キン工業董事長(会長に相当)の高勇、宗申産業総裁の左宗申、力帆実業董事長の尹明善によるトップ会談は2時間余りに及んだ。その結果、それぞれの会社が「摩托車下郷」の指定を受けた後は、安売り競争でお互いにシェアを奪い合うことを避けるという合意に達した。

 このような“歩み寄り”は、中国のオートバイ産業が直面している苦境を如実に物語っている。

 オートバイ産業の総売上高は年間1000億元(約1兆4500億円)、納税額は70億元(約1000億円)に達する。しかし金融危機の影響で、中国製オートバイは巨大な海外市場を失いつつある。一方、国内の都市部では市場縮小に歯止めがかからない。農村部では購買力が不足しており、高付加価値製品が売れない。まさに内憂外患の厳しい状況だ。

 そんな中、ほぼすべてのオートバイメーカーが「摩托車下郷」を今年の最重点課題に位置づけている。政府の指定を受けられるかどうかが、メーカーにとって死活問題だからだ。

 「『摩托車下郷』は一時的な救いになるかもしれないが、業界全体の衰退トレンドは変えられない。誰もが将来に大きな不安を感じている」。重慶のあるオートバイメーカーではそう話す。

 中国政府による農村部の消費拡大策の対象に加えられるまで、中国製オートバイの主力市場は海外だった。オートバイ産業は売上高の40%、利益の50%以上を輸出に依存していた。国内では都市部の多くでオートバイの乗り入れが制限または禁止されている。そんな中、オートバイメーカーが成長を続けられたのは海外市場があればこそだった(編集部注:中国の都市部では1990年代後半から、交通渋滞や大気汚染の緩和を目的にオートバイのナンバープレート発行が制限されるようになった。一方、近年は排ガスを出さない電動バイクが急速に普及している)。

 現在、中国メーカーは2000車種以上のオートバイを生産しており、部品の製造基盤も整っている。オートバイの輸出は2008年まで8年連続で世界首位、外貨獲得額は50億ドル(約5000億円)を超えていた。

インドメーカーがルピー安を武器に攻勢

 ところが、金融危機の衝撃で状況は一変した。オートバイの輸出受注は昨年下半期から目に見えて減少し、2009年に入っても回復の兆しは見られない。中国汽車工業協会がまとめたオートバイメーカー94社の輸出統計によれば、2009年1月のオートバイ完成車の輸出台数は前年同期比46.86%減の39万4100台、輸出金額は同32.86%減の1億9300万ドル(約193億円)に落ち込んだ。

 中国最大のオートバイ製造拠点である重慶では、金融危機の影響の大きさがはっきり見て取れる。

 重慶のオートバイ産業の雇用者数は100万人を超える。2008年の重慶のオートバイ生産台数は1003万台と、全国の約6割を占めた。しかし、昨年末に重慶市中小企業局が行った調査によれば、オートバイメーカーや部品メーカーの受注減少率はおしなべて20%以上、中には70%以上のメーカーもあった。例えば宗申グループの汎用エンジンメーカー、宗申通用動力機械の受注額は、計画に対して74%も減少した。隆キンの2008年12月の輸出受注はゼロに近かった。

 これは海外需要の一時的な萎縮という単純な問題ではない。インドの競合メーカーが、金融危機でルピーの対ドル為替レートが下がったのを好機と見て、安値攻勢で中国メーカーのシェアを奪いつつあるのだ。

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