「世界鑑測 菅原出の「安全保障・インサイド」」

北朝鮮ミサイルでオバマ政権は動かない

最重要課題はアフガン、イラン。関心の低い北朝鮮

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2009年4月6日(月)

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 3月27日、オバマ大統領は正式に対アフガニスタン戦略を発表した。日本では北朝鮮によるミサイル発射のインパクトの方が大きく、オバマ政権が「最優先事項」として掲げ、60日間もじっくりと包括的な戦略見直しをした末に明らかとされたこの新アフガン戦略の意義が、あまり正確に伝わっていないようである。

 しかし言うまでもなく、アメリカの対外政策における北朝鮮問題の優先順位は高くなく、アメリカのメディアのこの問題に対する関心も、アフガンやイラン問題に比べればはるかに低い。

  今回の北朝鮮の行動に対してオバマ政権がどう動くのかに関する日本の関心は高まっているようだが、残念ながら同政権がこの問題で北朝鮮に対して実質的な強硬策をとる可能性は低い。オバマ政権が発表したこの対アフガン戦略、そしてそれと密接にリンクする対イラン戦略を見ていけば、オバマ政権の関心がどこにあるのか、そしてこの政権が安全保障問題にどう取り組んでいくつもりなのかが自ずと見えてくる。

ターゲットは「アルカイダ」に限定

 まずはオバマ大統領自身の言葉に耳を傾けてみよう。

「われわれのアフガニスタンにおける目的とはいったい何だろうか?アメリカ国民の多くがこのような疑問を持っていることだろう。もう何年も経っているというのに、なぜいまだにアメリカ人が戦い続け、あんなところで死ななければならないのだろう、と。アメリカ国民は率直な答えを知る権利がある」

 「だからはっきりさせよう。アルカイダとその同盟者−911テロ攻撃を計画したり支援したテロリスト−がパキスタンとアフガニスタンにいるということだ。複数のインテリジェンス分析が、アルカイダが今もパキスタンの隠れ家でアメリカ本土に対する攻撃を計画していることを警告している」

そして「明確で焦点を絞った戦略目標」として、「パキスタンとアフガニスタンにいるアルカイダを崩壊させ(disrupt)、組織を解体させ(dismantle)、打倒する(defeat)こと、そして将来にわたりいずれの国にもアルカイダが戻ることを防ぐことだ」とし、「これが達成されなければならないゴールである」と明確に述べている。

 前回も指摘したように、オバマ政権は対アフガン戦略においても、非常に限定された控えめな目標を設定している。アフガニスタンの復興でも民主化でもなく、あくまで「アルカイダ」系勢力の打倒に過ぎない。ここでオバマ大統領が「アルカイダ」という言葉を使っている点は重要である。

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著者プロフィール

瀬川 明秀(せがわ・あきひで)

日経ビジネス副編集長。日経BPビジョナリー経営研究所 研究員。


菅原 出(すがわら・いずる)

菅原 出

1969年、東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒。平成6年よりオランダ留学。同9年アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。国際関係学修士。在蘭日系企業勤務、フリーのジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英危機管理会社役員などを経て、現在は国際政治アナリスト。会員制ニュースレター『ドキュメント・レポート』を毎週発行。著書に『外注される戦争』(草思社)、『戦争詐欺師』(講談社)、『ウィキリークスの衝撃』(日経BP社)などがある。



このコラムについて

世界鑑測 菅原出の「安全保障・インサイド」

このコラムはニューヨーク、ロンドン、サンノゼ、香港、北京にある日経BP社の支局と協力しながら、米国や欧州はもちろんのこと、世界経済の成長点とも言えるブラジルやロシア、インド、中国のいわゆるBRICs、エネルギーや国際政治の鍵を握る中近東の情報を追っていきます。記者だけではなく、海外の主要都市で活躍しているエコノミスト、アナリストの方々にも「見て、聞いて、考えた」原稿を提供してもらいます。

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