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それでも彼らはアメリカを目指す

国境でメキシカン労働者の声を聞く

  • 林 壮一

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2009年4月23日(木)

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 カリフォルニア州の南部、サンディエゴ。

 およそ315万人が住むカリフォルニア州第2の都市である。南端はメキシコとの国境にあたり、毎日多くのメキシカンが労働のためにアメリカに入国する。

 私が足を運んだ4月の第3土曜日も、ボーダーラインを超えたメキシカンたちが、列を作るかのように交差点を渡っていた。どの顔も浅黒く、髪が黒い。そして貧しい身なりである。まだ午前8時前だというのに、人の波が途切れることはなかった。

 客待ちしているタクシーの運転手に声を掛けてみる。

「セニョール、あなたはメキシコ人?」
「そうだよ」

50歳のタクシードライバー

 彼の左手にはハンバーガーが握られていた。

「母国じゃなくて、アメリカで働くことを選んだの?」
「あぁ、もう22年になる。こっちの方が金になるからね」

 ドライバーの年齢は50歳。移民として認められ、妻と2人の子供と共にサンディエゴ市内で暮らしていると話した。

「ここからメキシコに入るだろう。すると、途端に治安が悪くなるんだ。目と鼻の先なのに、サンディエゴとは段違いの無法地帯。ティファナなんて住めたもんじゃない、犯罪だらけさ」

 男は白い歯を見せて語ったが、その表情はどこか寂し気に映る。

「アメリカに来て、本当に良かった」

「稼げると言っても、月に2000ドルくらいのもんだよ。こんな国境地帯じゃなくて、サンディエゴのダウンタウンとか海岸エリアの方がいい客を見付けられるんだけど、ワシが契約しているタクシー会社は、そこまで手を伸ばしていないからね」
「じゃあ、そういう都心の会社でキャブを走らせたらいいじゃない」
「簡単に言ってくれるねぇ。色々と競争があって、好条件を得るのは難しいんだ」

 ドライバーは微笑みながらハンバーガーに齧り付いた。

「セニョール、一日に何人くらいのメキシカンがサンディエゴに入って来るの?」

 私が訊ねると彼は答えた。

「“いっぱい”。多過ぎて数え切れないよ」

 今回私がサンディエゴとティファナの国境沿いを訪ねたのは、何名かの友人が、この場所から不法入国したからだ。私の知り合いは全員、車のトランクに身を隠してアメリカに不法入国した。見付かれば即、ティファナに逆戻りである。運よくアメリカで職を得、生活の基盤を手に入れた彼らは一様に話した。

「アメリカに来て本当に良かった。この国には自由がある。メキシコで生活するよりも、ずっとチャンスがあるんだ!」

 会話をしたタクシードライバーのように月に2000ドル、あるいは、カリフォルニア州のあちこちに広がる農園で季節労働者として働くだけだとしても、彼らは自身の選択が正しかったと言い切る。

 そのうちの一人はこう説明した。

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