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「食糧倉庫問題」に中国人の“役得感覚”を見た

横行する虚偽報告に政府はどう対処するのか

2009年4月24日(金)

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 中国では2009年4月1日から全国規模で食糧在庫の全面的検査が始まった。これは全国各地の穀物倉庫の3月25日24時時点における在庫量を4月1日から6月末までの3カ月間かけて徹底的に調査するものであり、10万人以上の調査員が動員されることになっている。

 前回、全国規模の食糧在庫全面検査が実施されたのは2001年で、今回の全面検査は実に8年ぶりとなる。

 なお、「食糧」は中国語で“糧食”と言い、米、小麦、大麦、トウモロコシ、大豆などの穀物を指す。

食糧倉庫についての問題提起

 検査開始に先立って3月25日に開催された「全国食糧在庫調査作業動員テレビ会議」の席上で、国務院副総理の李克強は、「国有食糧企業の食糧在庫の実情を徹底的に調査せよ。倉庫が有れば必ず出向き、食糧が有れば必ず検査し、帳簿が有れば照合し、調査を徹底せよ」と述べて、食糧倉庫の穀物在庫量に対する国民の疑念に答えることが今回の全面的検査の責務であると強調した。

 これを遡ること1年前の2008年3月、中国で“両会”と呼ばれる“全国人民代表大会”と“全国政治協商会議”が北京で開催された。その両会会期中の3月11日に中国で「雑交水稲栽培の父」と尊称される中国工程院の院士(注)で政治協商委員である袁隆平はメディアの取材を受けた際に食糧倉庫について次のような問題を提起したのだった。

 注:中国には日本の学士院に相当する“中国科学院”(科学技術の最高研究機関)と“中国工程院”(工学の最高学術諮問機関)がある。“院士”はその会員で、日本ならば「学士院会員」。

 なお、袁隆平は2007年に中国人として最高の栄誉とされる「世界の中国人に影響を与えた特別功労賞」を授与されている世界的な学者であり、中国人で知らぬ者はいない著名人である。

 近年農民は食糧生産に対する積極性が薄れてきている。1980~90年代の農民家庭は食糧の蓄えが多かったが、現在は状況が変わり、食べることができれば、それでよいとする農民が少なくない。こうした状況から考えて食糧備蓄は生産と供給のチェーン上で非常に重要な地位を占める。

 ところが、国家の食糧倉庫には在庫量を水増しして虚偽の報告を行う風潮があり、少なくとも2つの地方食糧倉庫は空っぽであると聞く。国家は食糧倉庫に対して保管補助金を支給しているが、虚偽報告を行っている食糧倉庫は水増し分の補助金を受け取り、空の倉庫を別の用途に使うことで二重の利益を得ている。

 我が国には関連の検査制度があるにもかかわらず、食糧倉庫は隙に乗じてごまかしを行っている。

 私は国家がしっかりと検査を行うことを提案する。検査を行う際には公式ルートを通ずることなく私服で隠密裏に調査を行うべきだ。不定期に随時の抜き取り検査を行ってこそ、実際の状況を把握することができるのである。

事実無根の言掛り…

 袁隆平が問題を提起した後に、安徽省馬鞍山市の当涂食糧倉庫が食糧貯蔵量を水増しして補助金を不正取得しているとの容疑が表面化した。

 この問題を受けて、2008年4月15~18日に国家発展改革委員会など4つの部・委員会からなる調査団が当涂食糧倉庫を含む安徽省の食糧倉庫4カ所や食糧倉庫補助政策の実施状況について調査を行った。

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「「食糧倉庫問題」に中国人の“役得感覚”を見た」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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