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イスラム勢力と手を組んだソマリア海賊

ソマリアに続く“武器街道”を行く(5)

  • 吉田鈴香

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2009年4月28日(火)

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 前回の記事でも書いたように、筆者は武器がソマリアに入るまでのルートを探していた。

 ソマリアはアフリカ大陸で最も東に張り出した土地であり、真北にイラン、真西にスーダン、ナイジェリア、コートジボワール(象牙海岸)、リベリア、シエラレオネなど、近年内戦の火が絶えなかった地が並ぶ。

 内戦中の国々は大量の小型武器を要する。さらに近年は戦車など、重量のものも使われている。ソマリア内で使用されるもの、ソマリアを通過して西へと運ばれるもの。どちらであれ、これらの武器、兵器は、どのルートをたどってソマリアに入ってきたか、調べねばならない。

それはチッタゴンだった

 武器の輸出港はパキスタンのカラチではないか? 仮説を立てて、出立前に知人たちに質問を投げるとともに、さる人物を訪ねたことを前回書いた。

 筆者が訪ねたA氏が、紙をプリントして筆者に手渡した。それを見て、筆者は目を疑った。「Bangladesh」「Chittagong」の文字が目に飛び込んできたからだった。「あの、田舎の国が?」が第一印象だった。

 A氏の調査ペーパーは、2004年の動向を表していた。バングラデシュといえば縫製業と思い込んでいたが、2004年にはGDP(国内総生産)が現地通貨で初めて600億タカの大台に乗った。前年の2003年にはGDP成長率が6%台に乗ってもいる。インドの次にアジアで経済成長するのはバングラデシュと、筆者は耳にしてきた。

 小窓からようやく明かりが差し込み始めたかのような貧しい国のイメージと、武器の不法輸出のギャップとに戸惑った。しかし、A氏のプリントした紙の文字を追っていくと、どうやらここに記載されている輸出は、摘発されて未然に防がれたようである。

 「安心してはいけない」とでもいうような視線をA氏が筆者に投げてきた。筆者は再び紙面に目を落とした。

 「over 1,200 sub-machine guns(サブマシンガン)」「25,000 hand grenades(手榴弾)」「over 1,000,000 rounds of 7.62 ammunition(弾薬)」「840 RPG's(携行式ロケット砲)」と文字が並んでいる。

 「これは、小国一つの武装に匹敵するのでは?」と聞くと、A氏は口元を片方引き上げて微笑んだ。

 バングラデシュは、国際社会では常に隣国インドの後背にあり目立たなかったが、2003年頃から反米を掲げた爆弾テロが行われ始めている。この摘発は爆弾テロの前月にされていた。この時は運よく輸出を食い止めることができたが、常に未然に防げるとは限らない。

 大量の武器輸出をするには、それまで目立たなかった国こそ狙い目である。当局のマークが手ぬるいからだ。バングラデシュだけではない。近年はどの国も港湾と飛行場の整備が進んでおり、大きな荷を扱いたい。ハブ空港になろう、と競争は激化する。その間隙を縫って、違法輸出は行われているに違いない。

 ソマリア海賊が乗っ取る船には、怪しげなものが多い。その1つが、昨年8月にソマリア沖で海賊に乗っ取られたウクライナ船籍の武器満載船だ。身代金を払った後、戦車、銃など装備品を満載したトラックが南スーダンに向けて運ばれた。南スーダンは周知の通り紛争地だ。ここで人道支援に携わる友人たちは、「恐ろしく未開の地だ」と言う。米国際開発庁(USAID)職員らは、セキュリティーガードマンの警護を受けながら仕事をしている。

 ケニアは民主主義国だが、北部は政府の監視が行き届いておらず、東部はソマリア人の地域だ。国境に有刺鉄線などない状況下、一度大陸に荷揚げしてしまえば内陸国に運ぶことはたやすい。取り締まるべき政府がないソマリアは、武器密輸のルートにはうってつけだ。

海賊の実態が明らかに

 取材旅程を終えた後も、筆者は地図を見ながら「武器街道」探しをしていた。また、海賊の組織的背景も知りたかった。

 筆者は、確信していた。必ず世界のどこかで海賊の実態を、そのすぐ近くで彼らの支援をしながら調べている人がいるに違いない、と。なぜなら、海賊はそのビジネスを立ち上げてさして年月を経ていないからだ。しかもそれは、新手のビジネスモデルだ。身代金をヘリコプターから船上に落とさせたり、蟻が象を縛り上げるごとく巨大船を乗っ取ったり、数千万ドルの交渉をしたり、地上のアジトを探らせないようにコミュニティーを巻き込んでいたり、ファイナンシャルアドバイザーを雇ったりしている(前回参照)。

 手法、知識、ネットワークなどで外部の知恵を頼らねば新たな展開はできないはず。その「外部」が、民主主義を是とする先進国であってくれれば、しめたものなのだが。なぜなら、すでに西側にはセキュリティーネットワークが出来上がっていて、「World is Small」の合言葉が交わされている(前々回参照)のだから。

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