Mehul Srivastava (BusinessWeek誌記者、ニューデリー)
米国時間2009年4月19日更新 「India's BJP Chases Obama's Online Election Magic」
ヒンドゥー至上主義を掲げるインド最大の野党、インド人民党(BJP)のL・K・アドバニ党首(81歳)には最近、意外なあだ名がついた。「インターネット界のスーパースター」だ。
政敵である与党国民会議派のマンモハン・シン首相をインターネットで検索しても、スポンサーサイトのトップにはアドバニ氏のブログが登場する。また、インド国内のオンラインニュース記事を開けば、「強い指導者、決断力のある政府」という自身のスローガンを意識して力強さと決断力を示すポーズを取ったと思われるアドバニ氏の広告が目に飛び込んでくる。
動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」でインド関連の動画を見ていても、鮮やかな黄色とオレンジ色で彩ったアドバニ氏のポスターを目にするかもしれない。
いささかやり過ぎの感もある。とはいえ、インド下院総選挙の結果は6月初めまで分からないものの、オンライン選挙戦では既にアドバニ氏が勝利を収めている。
インド・ニューデリーの緑豊かな通りに面した古風な建物の中にあるBJP本部では、インド有権者の中では最も動向が把握しにくい都市部のエリート層の支持を勝ち取ろうと、2008年米大統領選におけるバラク・オバマ陣営に倣った選挙戦を展開している。
「BJPは明らかに、米大統領選でのオバマ陣営の選挙戦略をお手本にしている」と、インドの政治に関する数多くの著書を持つ歴史家のラマチャンドラ・グハ氏は言う。
インド下院総選挙の投票は4月16日に開始された。数回に分けて実施される投票がすべて終了する5月中旬まで、インド中が選挙戦の熱気に包まれる。与党国民会議派主導の連立政権は、ぎりぎり過半数の死守を目指す。一方のBJPは、相次ぐ大規模テロや2ケタのインフレ率(最近になってようやく沈静化)、農村部の貧困層が抱く経済格差感の高まりなど、現政権の過去5年間の政権運営に不満を抱く有権者の票を狙っている。
巨大で多様な国民階層を抱えるインドでは世論調査は当てにならず、選挙結果は予測がつかない。そのため、各政党は今までに無い方法で有権者の支持を得ようとしている。その最たるものが、インターネットと携帯電話だ。
インドの有権者7億1200万人のうち、インターネットの利用経験のある者はまだ少ない。また、投票に行く可能性が最も高い貧困層では、当然ながらインターネット人口はさらに限られる。だが都市部では、教養のある人々は英語を公用語として使用することが多く、さらにオフィスや家庭、携帯電話には常にインターネットにアクセスできる環境が整っているため、アドバニ氏に有利な状況となっている。
グハ氏は、「BJPはカーストや使用言語では分類不可能な中産階級の支持を得ようとしている。こうした1500万〜2000万人の中産階級は、言語やカーストの枠では捉えられない、洗練された人々だ」と話す。
海外から取り入れた選挙戦術
オンライン戦略は確かに、インドでは新しい選挙戦術だ。だが、インドの政党が海外から選挙戦術を取り入れるのはこれが初めてではない。1984年、当時の国民会議派総裁ラジブ・ガンジー氏(ソニア・ガンジー現総裁の夫)は、母であるインディラ・ガンジー首相(当時)の暗殺を受けて首相に立候補した。その際、仏広告大手ピュブリシス傘下の英サーチ&サーチを使った選挙戦で政権を勝ち取ったマーガレット・サッチャー元英首相に倣い、国内の広告代理店を起用した。
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