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インドを見るときは、その西も見よ
~衛星打ち上げに見るあの国との意外な蜜月

  • 白土 晴一

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2009年5月19日(火)

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 先月4月20日、インド宇宙研究機関( ISRO )は、ベンガル湾沿いのシハリコタにあるサティシュダワン宇宙センター(SDSC)第二発射台から、極軌道打ち上げ用PSLVロケット(C-12)により二つの人工衛星を打ち上げた。

 一つはアマチュア無線用の中継システムを積んだ「ANUSAT」(Anna University Microsatellit)というインドのアンナ大学が開発した小型衛星、もう一つは、合成開口レーダーを搭載したリモートセンシング衛星「RISAT-2」(Radar Imaging Satellite 2)。

スパイ衛星を打ち上げか

 この「RISAT-2」に関して、ISRO側は「原則的に気象や農業のための地球観測が目的」と主張したが、各国報道機関は実質的にはスパイ衛星=偵察衛星ではないかと見ている。


【ISRO launches surveillance education satellite】
(南アジア中心のニュースを配信する「Asia News International」の
YouTubeチャンネルより)
偵察衛星は地球観測衛星と技術的にも同じ部分も多く、当然軍事目的以外の利用も可能である。したがって、ISRO側の主張が必ずしも虚偽というわけではないだろうが・・・。

 打ち上げ後、インド政府は「ANUSAT」と「RISAT-2」の軌道投入に成功したと発表している。

 合成開口レーダー(SAR)は、主として航空機や人工衛星に搭載され、移動中に進行方向にある目標に対して、狭いパルス幅の電波などを連続的に送受信し、そこで得たデータを合成することで目標を画像として表示することが出来る。光学センサーとは違い、昼夜・天候などの影響をあまり受けずに高分解能な画像の入手が可能となるため、軍事用の偵察衛星に搭載すれば、情報収集能力が飛躍的に向上することとなる。

 既にインドは2001年10月に打ち上げた実験技術衛星「TES」(Technology Experiment Satellite)の光学センサーにより、かなり高度な衛星画像を自前で入手することが可能となっているが、この合成開口レーダーを搭載する予定の国産人工衛星「RISAT-1」の開発の進捗状況が思わしくないと伝えられていた。

 そのため、国境やパキスタン領内の監視能力強化を早急に進める必要性を感じていたのだろう、インド政府はイスラエルより購入した「RISAT-2」を前倒し的に打ち上げることを決めたらしい。

 そう、この偵察衛星「RISAT-2」は、インド国産ではなくイスラエル製なのである。

インドに依頼しての打ち上げも実施

 イスラエル政府は2008年1月にISROの商業部門であるアントリックス・コーポレーションに委託し、偵察衛星「TecSAR」を、「RISAT-2」と同じサティシュダワン宇宙センターからPSLVロケットで打ち上げている。

【参考映像】

【Israeli Reconnaissance Satellite Launched】
(イスラエル「The first TV network」のYouTube
「info live tv english」チャンネルより)
イスラエルの偵察衛星を打ち上げたインド政府に対して、イラン大使は抗議を行ったが、「純粋に商業目的である」として適当に受け流されてしまったらしい。

 「TecSAR」は、イスラエルの防衛産業の中核を担うイスラエル・エアリアル・インダストリーズ(IAI)が製造した合成開口レーダー搭載の偵察衛星であり、最大分解能は1m程度と見られている(ちなみに、日本の情報収集衛星「IGS-R」のレーダー最大分解能は1-3m程度とされている)。イスラエルの国内メディアによれば、投入された軌道などから「特にイラン核施設の監視を目的にしているのではないか」と推測している。

コメント1件コメント/レビュー

インドとイスラエルの関係は言われてみれば納得できるが,目から鱗の想いがした。ロケット技術やICT技術で近年注目されるインドだが,画像処理などで高い技術力をもつイスラエルとの協力関係はある種脅威を感じる。インドの数学力のポテンシャルの高さは周知のことだが,画像処理は暗号処理などとともに極めて高い数学力を必要とする分野である。合成開口レーダーの画像解析では医療用などで普及しているのCTなどと同じ数学的手法が利用されていたと記憶している。インドがそのポテンシャルを現実の技術開発力に展開するのはまじかということか? 一方でペルシャ湾岸諸国で大学への資金投入などによる強化などが伝えられており,高度な科学技術開発センターが,今後インド洋周辺に現れる可能性を感じる。インドをカレーの国,アラビアはアリババと石油という固定観念で見ている危険を痛感する。今後も継続的な情報の提供を期待したい。(インドや湾岸諸国。イスラエルもアジアでした。アジアは広い!)(2009/05/19)

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インドとイスラエルの関係は言われてみれば納得できるが,目から鱗の想いがした。ロケット技術やICT技術で近年注目されるインドだが,画像処理などで高い技術力をもつイスラエルとの協力関係はある種脅威を感じる。インドの数学力のポテンシャルの高さは周知のことだが,画像処理は暗号処理などとともに極めて高い数学力を必要とする分野である。合成開口レーダーの画像解析では医療用などで普及しているのCTなどと同じ数学的手法が利用されていたと記憶している。インドがそのポテンシャルを現実の技術開発力に展開するのはまじかということか? 一方でペルシャ湾岸諸国で大学への資金投入などによる強化などが伝えられており,高度な科学技術開発センターが,今後インド洋周辺に現れる可能性を感じる。インドをカレーの国,アラビアはアリババと石油という固定観念で見ている危険を痛感する。今後も継続的な情報の提供を期待したい。(インドや湾岸諸国。イスラエルもアジアでした。アジアは広い!)(2009/05/19)

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