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間近に迫るドル暴落?

急激なドル水準調整に直面する国際経済

  • 吉田鈴香

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2009年5月27日(水)

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 今年3月、著名な国際経済学者であり、変人として名の通っているノーベル経済学賞受賞者、コロンビア大学のロバート・マンデル教授が、米国の金融危機の“戦犯”5人を「5人の子羊」と称して名を挙げた。「5人の子羊」とは、債権トレーダーのルイス・ラニエリ、ビル・クリントン元米大統領、アラン・グリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長、ベン・バーナンキ現FRB議長、ヘンリー・ポールソン前米財務長官だ。

 この講演「Financial Crises and the International Monetary System」の主要論点の1つは、ドルの為替レートであった。マンデル教授の論では、グリーンスパンの罪状は、ドルを弱く、金利を低くしすぎて、バブルを作ったことにある。

ドルの信認はもはや失われた

 マンデル教授は、ドルの信認はもはや失われたと認識している。そこで、ドルとユーロを固定相場にして、いわば、命綱を張らせて、国際通貨としてもう一度機能させようとしている。そのうえでSDR(特別引き出し権)を大発行して、最後は、グローバル通貨(INTOR)を作り出す。そして、国際経済を金本位制に復帰する、というシナリオを書いている。彼はなにせ、有名な金本位制論者であるので、このような過激なことを政策提言しているのである。

 もちろん、こんなことは実現していない。一笑に付されていると言ってもいいだろう。為替レートの変動は、各国の通貨が入り乱れて国際取引や決済において差損を発生させたり、通貨発行のコストを各国に負わせたりすることになるため、確かに金のような、共通通貨があった方が便利な点もある。しかし、現代においては金ではなくても、共通の電子マネーで決済する仕組みを作る手も考えられ、マンデル教授が唱える金本位制への回帰に同調するものはない。

 本来、通貨体制の中心となるべき通貨とは、最も需要の大きな通貨である。誰もが使う貨幣こそが、基軸通貨だ。米国は基軸通貨ドルを、世界中の誰でも使えるよう供給(マネーサプライ)し続けてきた。その結果、信認が失せ、下落が始まっている。

 さて、ではマンデル教授のもともとの問題提起であるドル防衛を果たすにはどうするか、といえば、米国がドルを防衛する、つまり価値を維持するためには、金利を上げて、マネーサプライを絞るしかない。しかし、そんなことをしたら最後、米国の企業はすべてつぶれてしまう。さて、そうなると、政府主導で米国がドルを防衛する手段がない。

 筆者は昨年オバマ政権が誕生した折に、“身の丈”民主主義”のオバマ政権で、政府が経済をコントロールしようとすることはもうないだろうと書いた。米国はこれからも軍事支援など国際公共財の負担を減らせば、もちろん経済成長の余力はあると思われるが、米国1国で全世界相手はもはや無理である。

 そこで浮上するのが、市場の力を通じたドル防衛なのである。

 ミルトン・フリードマンの『資本主義と自由』に詳しいが、市場の力こそが為替を安定させると説いている。コンスタントではないが、とも付け加えている。米国は第2次大戦後1973年に金本位制から変動相場制に移行して以来、これを貫き、40年間弱繁栄してこられた。

グリーンスパンは子羊か、ドルを支えた恩人か

 米国は30年前から財政赤字と貿易赤字、マネーサプライの増加が続く。それらは、海外からの投資マネーを呼び入れていた故の貿易赤字であり、世界中にドルを供給してきた基軸通貨故の責任を果たした結果でもある。数字で見た場合、ドルが下落するのではとの予想が高まるのは必然だ。そして為替相場では、予想はそのまま、為替レートを動かす要因になるはずだ。

 しかし、実際の米ドルはプラザ合意で意図的に調整されたものの、さほどの下落を招かなかった。

 なぜドルは今まで暴落しなかったのだろう。結論から言えば、それは、米国の中に、ドル暴落を回避させようと懸命の努力をしてきた人々がいるからである。

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