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コカイン輸送専門の潜水艇を追え!

コロンビア麻薬組織と米国との闘い

  • 白土 晴一

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2009年6月2日(火)

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 2007年3月、アメリカ沿岸警備隊はパナマ船籍「ガツン号」から約3万8000ポンド(1万7000kg以上!)という大量のコカインを押収したことを発表した。

 パナマ・コイバ島の南西20マイル沖の海域を航行していた「ガツン号」を、哨戒飛行中だったアメリカ沿岸警備隊のC-130が発見し、通報を受けた巡視船ハミルトン(WHEC-715 Hamilton)とシャーマン(WHEC-720 Sherman)が、パナマ-アメリカ合衆国間の合意に基づいた臨検を行い、2つのコンテナの中に隠された記録的な量のコカインを見つけたというのである。


【What does 40,000 lbs of cocaine look like?】
(アメリカ沿岸警備隊のYouTubeチャンネルより)
巡視船シャーマンのコカイン陸揚げ作業映像。「ガツン号」以外の押収コカインもあり、総量は4万2845ポンド、末端価格にすると5億ドル。沿岸警備隊の歴史に残るコカイン押収量となった。

 密輸というものは、関税と何らかの規制品がある場所では、いつでもどこでも存在する。

 ただし、合法的な商売との違いは、密輸は輸送時のリスクが極端に大きく、流通の段階で当局に見つかれば、商品を没収・押収されてしまうということである。

 つまり、密輸する側に立って考えると、隠し持つことが容易で、輸送のリスクに見合うだけの利益が期待できる物品が最適ということになるだろう。

 そういった意味では、アメリカ向けのコカイン密輸は、非常に魅力的な商売ということになる。コカインは小分け可能で、やり方次第では目立たずに運搬することもできるし、中南米の国々からアメリカ国内に持ち込む過程で、この「ガツン号」のように関税や警察、沿岸警備隊などに摘発・押収されてしまうリスクがあったとしても、一度国境を越えさえすれば、ヘロインの8~10倍の価格でさばくことができるからである。

 そして、このコカイン・ビジネスの中心を担ってきたのは、コロンビアのドラッグ・カルテルであった。

カルテルの勢力は衰えたが、武装勢力が台頭

 現在でも、コロンビアは世界最大のコカイン製造国であり、彼らは自国産だけではなくペルーやボリビアからも、コカペースト(コカの葉をペーストしたもの)やコカイン・ベース(コカの葉と溶解液の混合物)を密輸し、製造したコカインの多くをアメリカに向けて出荷している。1970~80年代には、麻薬王と呼ばれたコロンビア人パブロ・エスコバルが率いる「メデジン・カルテル」が、こうした世界のコカイン流通のほとんどを支配していた。

 しかし、その派手なパフォーマンスと過激な暴力が災いし、1993年にエスコバルはアメリカ軍の後押しを受けたコロンビア治安部隊により殺害、その後の掃討戦と摘発で一大コカイン帝国だった「メデジン・カルテル」は勢力を失っていった。代わって、彼らのライバル勢力であった「カリ・カルテル」が一時的に力を持った時期もあったが、全体的にいえばコロンビアのドラッグ・カルテルの勢力はかなり削がれてしまったと言える。

 今では、左翼ゲリラ「コロンビア革命軍」(FARC)や極右組織「コロンビア自警連合」(AUC)などの武装勢力が、コロンビア国内の自分たちの支配地域でコカ栽培やコカイン製造に積極的に関わるようになり、アメリカ国内への密輸は「ガルフ・カルテル」や「シナノア・カルテル」などのメキシコ北部を拠点にするドラッグ・カルテルが請け負う状況になっている。


【Latin America's struggle to cut drug route to US - 29 Mar 09】
(アルジャジーラのYouTubeチャンネルより)
ラテンアメリカのコカイン・カルテルの隆盛が簡単に説明されている。コロンビアの警察博物館に展示されているパブロ・エスコバルのデスマスクや麻薬戦争の押収品の映像もある。

 たしかに、古くからアメリカへの不法移民を斡旋してきたノウハウを持ち、アメリカ-メキシコの自由貿易協定(FTA)で人と物の流れが緩やかになった国境を利用できるメキシコ系組織がコカイン・ビジネスで台頭してきたのは頷ける話である。

 しかし、パブロ・エスコバルが率いたような統一された組織力はなくなったにしても、コロンビアのドラッグ・カルテルが消えたわけではない。現在でも、彼らはあの手この手でアメリカへのコカイン密輸を虎視眈々と狙っている。

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