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問題児再生プログラム――特別学級を訪ねて

Opportunity Schoolと桜の花【前編】

  • 林 壮一

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2009年6月4日(木)

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 日本のソメイヨシノほど見事ではないが、ネヴァダ州リノ市でも、3月上旬から桜が咲き始める。街のあちこちで桜が見られるようになった頃、私はある特別学級を訪ねた。

 特別学級の名は「Opportunity School」。Opportunityとは、「機会」や「チャンス」の意で、それらを作り出す学校となれば非常に響きのいい語である。だが同校は、市内の公立小学校で手に負えないと判断された児童を再生させるプログラムとして運営されている。

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 本連載の初回で記した通り、私は過去にリノ市で最低と呼ばれる高校で「日本文化」の講師を務めた。モラルの欠片も持ち合わせない15歳~19歳の若者と接しながら、アメリカ社会の歪を見た。生徒たちが常識を身に付けていないのは、仕付けてくれる大人の存在が周囲に無かったからだ。誰もが崩壊家庭に育ち、貧困に喘いでいた。親が不法就労者であったり、刑務所に入っていたり、ドラッグに溺れているケースも珍しくなかった。

 私なりに全力で生徒たちと向き合ったが、限られた時間では手に負えず、半ば諦めた少年もいる。そして私が教壇を去った後、受け持った子供たちの大半は高校を中退した。

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 ああいう子供たちを救うには、もっと早い時期からサポートしてやらねばダメだ。高校生になってからでは遅過ぎる――。

 その後私は、問題児とされる小学生を、親でも教師でもない第三者の大人が支えるというボランティア活動に参加した。行為自体にやり甲斐はあったが、教壇で味わったような切実な問題を感じはしなかった。

◆   ◆   ◆

 2008年晩夏より、息子が小学校に通い始めた。校長先生も担任の先生もベテランで、心から信頼できた。彼らは、子供たちを惹き付ける楽しい授業の中で規律を学ばせた。息子を含めた6歳児たちは、それぞれが大きく成長していった。

 父親として子供の学校生活を安心して見守っていた矢先、息子が鼻血を流しながらスクールバスから降りてくることが何回か続いた。理由を質すと、1学年上のAからちょっかいを出されたという。息子のクラスメイトも同じ上級生から嫌がらせを受け、泣いている姿を目にした。

息子の学校で起こったトラブル

 考えに考えた結果、私は告げた。

「自分でケリをつけて来い。パパが出て行くわけにはいかないから」

 息子はメキシカンが営むボクシングクラブに所属しており、リングの外で拳を使うことは絶対に禁止されている。それでも私は言った。

「まず口で『止めろ』と言いなさい。次に大声で叫びなさい。こちらがそこまで我慢しても分からない相手なら、やり返して来い。責任はパパが取る。向こうは年上だから心してかかれ。これからお前が大きくなるうえで、一度や二度は直面する問題だろう。学校に通達するのは最後の手段だ」

 家内には家内の受け止め方があったであろうが、男親なら、時にこんなアドバイスも必要だと私は思う。

 数週間後、息子は涼しい顔でスクールバスから降りて来て話した。

「あんまりしつこいから、3発殴ってやった。やっと静かになったよ」

 しかし、ホッとしたのも束の間、ある日スクールバスのドライバーから私は質問される。

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