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教室で銃を突きつけた小学生、それでも絶望しない女性教師

Opportunity Schoolと桜の花【後編】

  • 林 壮一

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2009年6月11日(木)

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【前編まで】一般公立校で「お手上げ」とされた子供たちのための学校「Opportunity School」。深刻な問題を抱える家庭に育ち、他者との接し方や常識を知らない子どもたちに向き合ってきた、テイラー・ハーパー校長をリノ市に訪ねた。(前編の記事はこちら

 テイラー・ハーパー先生は、自分のオフィスに戻ると話し始めた。

「今、一番後ろの席に座っている子は4年生です。ずっといじめを受けていたの。我慢の限界を超えたのでしょうね。ある日お祖父さんの机の引き出しから拳銃を抜き、銃口をいじめっ子に向けた。それで、Opportunity School送りになったのよ」

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 ハーパー先生が説明した少年に目をやると、なるほど気の弱そうなタイプに見える。

「後ろから2番目の席の子は、水道が通っていない家庭で生活しています。だから、服がいつも汚れているの。学校どころじゃない生活環境なのよね」

 驚いた私が返事に困っていると、彼女は繋げた。

「典型的な貧困家庭。トレーラーハウスで生きる子なの」

 トレーラーハウスとは、使えなくなったキャンピングカーを住居化した格安アパートと説明するのが適当だろうか。アメリカ合衆国において、最低辺層の住まいだ。とはいえ、水道さえ引けない家庭というのは、トレーラーハウスの中でもかなり貧しい部類である。

「ここにやって来た最初の頃、彼は他人の目を見ることが出来ない子だった。大分、元気になったけれど、通っていた学校に返すには早いわ」

銃・貧困・麻薬、それでも彼女が絶望しない理由

 Opportunity Schoolで特別授業を受け、「一般校において通常の生活が可能」と判断された生徒は、それぞれ自分の学校に戻っていく。ハーパー先生は30日~45日ごとにサイクルを決め、段階に応じた躾を施していた。

「今年の1月19日から来ている子が一番長いわね。その彼は5年生。カッターでクラスメイトの首に切りつけたの。なかなか普通の生徒と一緒の行動が取れない。まだまだ時間が必要ね」

「どの子も、一見、大人しそうに見えますね」

 私の言葉を受けたハーパー先生は、少し微笑みながら応じた。

「ここまで来るのに必死だったもの」

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 突然、一人の生徒が椅子から立ち上がって、机の上に置かれたペンと地図を放り投げた。ハーパー先生が駆け出す前に、アシスタント教師が彼の肩を抱き、諭すように語る。

「彼は3年生。同性愛者の高校生に犯されてしまってね。以来、人間不信に陥っている。心に深い傷を負ってしまったのよ」

 少年たちが置かれた現状を聞かされれば聞かされるほど、絶望という言葉が浮かぶのだが、不思議なことに教室からネガティブな空気は感じられない。何故なら、ハーパー先生が非常にエネルギッシュで、バイタリティーに満ちた人物だからだ。

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