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米アップル、したたかな値下げ戦略

利益率はほとんど変化なし

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2009年6月16日(火)

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Peter Burrows (BusinessWeek誌シニアライター、シリコンバレー)
米国時間2009年6月8日更新 「Apple Cuts Prices Strategically

 景気後退で需要が低迷する中、米電子機器大手アップル(AAPL)も、消費者の固い財布の紐を緩めるような低価格製品を投入するのではないか――。同社観測筋の間では、こんな憶測が飛び交っていた。他社製品の多くが販売不振に喘ぐ現状においては、アップルが値下げに踏み切るだけで、「Mac(マック)」コンピューターから携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」やスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」に至るまで、あらゆる製品で市場シェアを大幅に拡大できるというのが一般的な見方となっていた。

 アップルは6月8日に開幕した開発者向け会議「WWDC」で、iPhoneの現行機種とノートパソコン「MacBook Pro(マックブック・プロ)」シリーズの一部値下げを発表。こうした憶測に終止符を打った。

 とはいえアップルも、やみくもに値下げに踏み切ったわけではない。今年1月中旬以降、同社株は80%上昇し、140ドル台に達している。その主な要因となった増益を維持しつつ市場シェアを拡大できるよう、したたかに計算した結果の値下げだ。

 今回、最も注目を集めたのは、iPhoneの現行モデル「iPhone 3G」の価格を199ドル(約1万9500円)から99ドル(約9700円)へ、ほぼ半額に引き下げたことだ。米証券会社パイパー・ジャフレー(PJC)のアナリスト、ジーン・マンスター氏は、今回の値下げも、2008年6月に従来の399ドル(約3万9000円)を199ドルに引き下げた時と同様、売り上げ倍増につながると予測する。

 アップルがiPhone 3Gの値下げを発表したのは、競合する米PDA(携帯情報端末)大手パーム(PALM)が、199ドルのスマートフォン「Palm Pre(パーム・プレ)」を鳴り物入りで発売したわずか2日後のことだ。マンスター氏は、「当初は149ドル(約1万4000円)前後への値下げを予想していた。アップルは明らかに市場シェア拡大を狙っている。Palm Preにつけ入る隙を与えないつもりだ」と語る。

 アップルは、シェア拡大のために利益率を犠牲にすることもなさそうだ。アナリストは、3Gを99ドルに値下げしても、アップルの利幅はそれほど変わらないと見ている。需要の低迷により、ディスプレーやメモリーチップ、ハードドライブなどの部品の調達コストが下落しているためだ。

 さらに、アップルはヒット商品の開発に自信を持っているため、将来的な部品の大量購入の約束と引き換えに、サプライヤーに価格の引き下げを要求することも少なくない。ある取引業者は匿名を条件に、「アップルの新商品に自社の部品を使ってほしいので、アップル側にかなり有利な条件を呑んだ」と証言する。

 iPhoneの出荷台数が大幅に増加し売り上げが伸びれば、ソフトウエア開発費や広告費などの固定費が売上高に占める割合は低下する。また、アナリストらは、米国内でiPhoneを独占販売している米通信大手AT&T(T)が、100ドル(約9800円)の値下げ分の一部を肩代わりすると見ている。AT&Tにとっても、2年契約で顧客を縛ることができれば採算は取れる。

 同社の広報担当マーク・シーゲル氏は、「値下げ分の一部を負担しても、当社の利益はさほど影響を受けない」と述べるにとどまり、詳細についての言及は避けた。

利益率はほとんど変わることはない

 半額に値下げすれば、当然利幅も縮小する。だが、アップルはその穴を埋めるため、より高速で値段の高い最新機種「iPhone 3G S」の発売も発表した。

 3G Sの「『S』はスピードを表す」――。アップルのフィル・シラー上級副社長(国際製品マーケティング担当)はWWDCの会場である米サンフランシスコのモスコーン・センターに集まった聴衆にこう語った。3G Sの16ギガバイト(GB、ギガは10億)版は199ドル、32GB版は299ドル(約2万9000円)で販売される。

 製品のコスト分析を専門とする米デジタル機器調査会社ポーテリジェントのデビッド・キャリー社長は、32GB版と16GB版の原価の差が24ドル(約2300円)程度だとすれば、32GBは100ドルも価格を上乗せしており、アップルは明らかに多額の利益を確保していると指摘する。

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