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改革派も反米。イラン騒乱を生んだのはSNSだった?!

民主主義は意外なところからやってくる

  • 吉田鈴香

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2009年6月23日(火)

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 6月13日午後、イランの大統領選挙で現職大統領マフムード・アフマディネジャド氏が63%の有効投票数を勝ち取り再選を果たした。対立候補だった元首相ミルホセイン・ムサビ氏はすぐさま不正を訴え、氏の支持者がデモを始めた。彼らの手にあったもの、それはTwitterだった。

Twitterがデモ・ネットワークを作った

 13日の午後以後、テヘランで行われ始めたデモは、不満を持った若者が散発的に広場にやってきて、その場で固まりになる程度。つまり、組織だったものではなかった。しかし日増しに人数が増えていき、大きな変化を見せ始めたのが17日だ。

 若者だけではなく、チャドルを着た女性たちや、都市の中間所得者層も繰り出してきた。手には緑のリストバンド。もちろんムサビ元首相もいた。その規模たるや、数万人という。通りを埋め尽くす人の波を見れば、それも納得がいく。

 その前日の16日、ムサビ元首相を含む敗北した3候補は、選挙監視の最高機関に当たる護憲評議会に対して、選挙違反行為646件について調査を依頼し、受理された。「調査を開始すると分かり、勢いづいたのです。これを機に落選した候補者たちは再選挙を言い始めました」と、在テヘラン日本大使館高官は語る。

 彼らはいかにして情報を共有しているのか、高官に聞くと、「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のTwitterを使っているんです。Facebookは当局によって使えなくなっているし、YouTubeも携帯電話や地上電話も頻繁にブロックされる。でも、Twitterだけは限られた100メッセージの送受信はできて、これでコミュニケーションを取り合っています」。

 イランは民主主義の体裁を整えているものの、日常的に尾行、盗聴といった当局の監視がある。今回の選挙によってその強度が格段に上がった。海外メディアの特派員らは早々に取材許可を取り上げられ、拘束されたジャーナリストもいた。この高官の携帯電話も、しばしば寸断されるという。

 その中で、当局も抑え込むことができなかったのが、Twitterだった。誰かが「ここで何時に集まろう」と呼びかければ約1時間で回覧され、人が集まる。デモで叫ぶメッセージも、Twitterによって事前に打ち合わせ済みで、各自即席のプラカードなどを持ち寄る。

 イランで普及している携帯電話は2G規格だ。現在日本の主流が3Gに移行していることに比べると少し遅れてはいるが、簡単な文字情報を送ることは十分可能である。価格も手頃なため、普及した。

 周知の通り、日本の携帯市場が他国からの参入をブロックできるように高性能にしたことと正反対に、低い技術に設定したことが、やすやすと国境を越える安価な携帯電話を容易に入手可能にさせた。その恩恵は、発展途上国でよりはっきりと表れている。

 さて、通信手段をブロックする当局は人海戦術によってこれを行っているため、発信数が増えれば到底対応することはできない。米国に渡り市民権を取ったイラン人が、海のかなたからTwitterに参入した。Twitterのメンテナンスを請け負っているNTTアメリカが、メンテナンスの予定時刻を変更してイランが夜中にあたる時間帯に作業を済ませるという、粋な計らいをした。

 それらも功を奏して、Twitterに参加する人数が増えるほどに、目くらまし効果が上がりTwitterは社会現象化していった。Twitterに人間を結集させる力があったとは、当局には計算外だっただろう。

 「初めは目的不明のグループだったのに、水曜日からは選挙のやり直しを求める組織的な集合体になった」とは、前述の高官の弁である。

 イランは、元来口(くち)コミ社会だ。噂を含めあらゆる情報が口から口へ伝達されるのが実に速い。人間関係が比較的濃厚な発展途上国では、どこでも似たような傾向がある。Twitterはそんな社会的特長と適合していたと言える。

 しかし、そのTwitterが普及していない地域がある。地方だ。

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