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「処方薬、高く買い取ります」が横行する不気味

ゆがんだ医療保険制度が市民を小遣い稼ぎに走らせる

2009年6月26日(金)

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 “看病難、看病貴”。これは「診療を受けるのは難しいし、受けられても医療費は高い」という意味で、中国の医療体制の問題点を的確に言い表している言葉である。

 信頼できる医者や設備が揃っている大病院では診察を待つ人々が長蛇の列を作り、診察には一定額の前金の支払いが不可欠。救急患者でも前金の支払いなくば診療拒否。診療費も薬代も庶民の所得水準に比べてべらぼうに高い。

 同じ発音の“向前看(xiang qian kan=前向きに考える)”をもじった“向銭看(拝金主義)”に毒された医者は、利益重視で患者を薬漬けにしようと薬を過剰に処方する。この結果、患者は診察のたびに処方される高価な薬を飲み残すことになる。

“高價収薬”の文字と携帯番号だけのビラ

 さて、中国の都市部では“高價収薬(薬高値買い取り)”と書かれた小さなビラが街のあちこちに張られているのを目にする。大きな病院や薬局の周辺、バスターミナルや地下鉄駅の通路、大型のショッピングセンターなど、人が集まる場所には必ずと言っていいほど“高價収薬”のビラが張られている。

 ビラは“高價収薬”という文字と携帯電話の番号が書かれているだけのシンプルなもので、印刷されたものから手書きのものまで千差万別である。壁や電信柱に残り、美観を損ねている張り跡を見れば、どのビラも「はがされたら張る」の繰り返しであることは歴然としている。執拗でしたたかな商売であることは一目瞭然である。

 そもそも、「薬を高値で買い取る」というのはどういうことなのか。誰が何のためにどんな薬を買い取るのだろうか。

 2009年2月11日付の黒龍江省の新聞「大慶晩報」は、「“高價収薬”の黒幕を密かに探る」という記事を掲載した。記事を要約すると次の通りである。

入院患者にも「薬を売れ」と迫る

 大慶市の市街では“高價収薬”のビラが氾濫し、街の電柱や壁など、所構わず張られている。ビラの裏面には接着剤がついているからどこにでも張りつけ可能だが、街の清掃員たちは毎日のように張られるビラをはがす作業に悪戦苦闘しているのが実情である。

 記者がある病院を訪れて職員に“高價収薬”について尋ねると、病院内には患者やつき添いだけでなく、こうした薬買い取り業者も紛れ込んでおり、待合室の患者にまとわりつくのみならず、入院病棟にまで入り込んで入院患者に「薬を売れ」と迫っていると言う。

 彼らは病院のトイレにまで“高價収薬”のビラを張るし、マジックインキで壁に直接書きつける輩もいて、その傍若無人ぶりにどの病院も対応に苦慮している。

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「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「「処方薬、高く買い取ります」が横行する不気味」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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