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24万円「カンニング機器」を26台売りさばいた女性教師

「大学こそ成功への道標」と錯覚した市民たちの悲しい実態

2009年7月3日(金)

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 吉林省の中西部に位置する松原市は、人口約280万人、省都・長春から北へ約150キロメートルに位置し、松花江河畔の風光明媚な都市である。

 2009年5月末、週刊紙「南方週末」は、その松原市の市民の大学受験に対する見方を示す「戯歌(ざれうた)」を掲載した。

一等国民はお金もあれば勢力もあり、子供を推薦入学に向かわせ、難関を迂回して名門大学へ入学させる。

二等国民はお金もあれば人脈もあり、子供のために身代わり受験を画策し、多少費用はかかっても大学へ入学させる。

三等国民はお金もあれば手段もあり、子供に大学入試の解答を買ってやり、心血を注いで大学へ入学させる。

四等国民は何もない、子供の実力に頼るしかなく、戦々恐々で結果を待てど、結局は不合格。

交信試験中に現行犯逮捕

 2009年6月7~9日の3日間実施された“普通高校招生全国統一考試(全国統一大学入試)”(以下「大学入試」)には、全国で約1020万人が受験した。

 この大学入試直前の6月4日夜、松原市扶余県の高校「扶余第1中学」の女性教師2人が、大学受験生にカンニング機器を販売したとして逮捕された。

 大学入試会場となる「扶余県第4中学」付近のマンションで会場の受験生と交信するための機器のテストを行っていたところ、6月2日に通報を受けて調査をしていた公安警察に現行犯逮捕されたのだった。

 主犯の劉艶華(44歳)は、今年大学を受験する娘の母親で、合格には程遠い娘の学業成績に悩んでいた。

 受験日が刻々と迫る中、ある時、劉艶華はインターネットに掲載されていた大学入試カンニング業者の広告を見て心が動き、誘惑に負けて業者に連絡を取った。

 業者は機器と試験解答をセットで買うことを条件とし、劉艶華はなんと合計27セットを購入した。そして、大学受験生を抱える親戚や友人に44万3540元(約621万円)で売りさばいたという。

入念な本人確認で対応しているが、入試にまつわる不正事件は後を断たない © AP Images
画像のクリックで拡大表示

年間可処分所得より高いカンニング機器

 1セットは自分の娘のために買ったと考えると残りは26セットだから、1セット当たり1万7060元(約23万8840円)で売った計算になる。

 2008年の吉林省都市部住民の年間可処分所得は1人当たり1万2830元(約17万9620円)なので、1セットの価格はその年間可処分所得より30%以上も高く、日本の物価水準なら120万~130万円相当の金額である。

《筆者注》この事件は事前に発覚してカンニングは実行されなかった。もし、実行されていれば、試験会場の受験生は配布された試験問題の写真を撮り、カンニング機器を使って業者に送信。業者は1時間以内に専門家が作った解答を受験生に送信する仕組みであった。

 メディアが伝えた「現役教師がカンニング機器を販売」のニュースは、世も末かと中国国内に衝撃を与えた。

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「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「24万円「カンニング機器」を26台売りさばいた女性教師」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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