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医師や看護師による悲痛な「白衣の座り込み」

「ならず者」が扇動し、全国に蔓延する医療騒動の実態

2009年7月10日(金)

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 2009年6月23日、福建省南平市人民政府の玄関前で、白衣の医師や看護師たち400~500人が座り込みを行った。掲げた横断幕の文言は、「我々の尊厳を返せ、正常な医療秩序を維持せよ」「犯人を懲罰せよ、医療騒動を取り締まれ」といったものだった。

 彼ら、彼女らの行動は医療秩序の維持を求めるとともに、ますます拡大する医療騒動の抑制と暴力行為の取り締まりという極めて当たり前なことを要求したものであった。

 「医療騒動」を中国語で“医閙”(日本語の読み方は「いどう」)と言う。今や中国全土に蔓延している“医閙”とはどのようなものか。白衣の座り込みはどうして起こったのか。南平市における“医閙”の実態を通じて見てみよう。

舞台は養豚業者が多い山間の街

 福建省南平市の中核をなす延平区は、省都の福州市から北西に約170キロメートル、高速道路で2時間ほどの距離にある。延平区の面積は2660平方キロメートル、日本の神奈川県よりも200平方キロメートルほど広く、人口は約49万人である。

 ちなみに、南平市全体の面積は2万6278平方キロメートルで、日本の長野県と新潟県を合わせた面積に相当する。市全体の人口は約300万人で、そのうちの約200万人が農民である。

 さて、その延平区の管轄下にある太平洋鎮の楊厝村は、山がちで田畑が少なく、村人の多くは養豚を生業としている。50歳の楊俊斌もこうした村人の1人で、80頭ほどの豚を育てる零細な養豚場を経営して、何とか生計を立てていた。

 最近になって、楊俊斌は腰痛に悩まされ、食欲不振で痩せてきた。そこで、楊俊斌は2009年6月12日から17日まで、延平区の市街地にある“解放軍九二医院”に入院して検査を受けた。その結果、重い腎臓結石であると同時に重篤な心臓疾患で、心臓のポンプが送り出す血液量が正常の半分しかないことが判明した。

 腎臓も心臓も機能の低下は著しく、九二医院ではすぐには手術ができなかった。そこで担当医師は、まず腎臓透析などを行って手術可能な状態になるのを待つよう勧告したのだった。

心臓疾患の有無を正しく申告せず手術台に

 楊俊斌は6月17日午前中に九二医院を退院し、その日の午後に九二医院からさほど遠くない“南平市第一医院”に行って腎臓の検査を申し込んだ。

 翌18日の午前中、第一医院に入院して検査を受けた結果、楊俊斌の病名は「両側腎臓積水を伴う両側尿管結石」であると診断された。楊俊斌本人、及び、家族は手術に同意し、前金として6000元(約8万4000円)を支払った。

 手術は6月20日の午前中に始まった。執刀する泌尿外科主任の胡言雨は、手術前に楊俊斌に心臓疾患の有無を確認したところ、楊俊斌は「ない」と答えた。これに安堵した胡主任は手術を行い、正午に無事終了した。

 だが、それが事件の始まりだった。

コメント5件コメント/レビュー

中国人に友人がたくさんいますが、一般的には自己利益のためには、公衆道徳などどこ吹く風です。悪化の原因は、抑圧された農民の怒りと紛争を金儲けにしているやくざなのですね。中国の一流国への道のりは険しいですね。(2009/07/13)

「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「医師や看護師による悲痛な「白衣の座り込み」」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中国人に友人がたくさんいますが、一般的には自己利益のためには、公衆道徳などどこ吹く風です。悪化の原因は、抑圧された農民の怒りと紛争を金儲けにしているやくざなのですね。中国の一流国への道のりは険しいですね。(2009/07/13)

公正であるべき第三者機関の義務放棄が混乱を増長させたと言ってもよい。暴力行為に走る(当事者もあおる紛争扇動者)を排除できる機能を病院も持つべき。公的には病院を貶める裁定は明らかな過失の実証がなければ避ける。命を預ける機関の信頼維持が優先する。逸れるが、大和郡山市の病院の不正は信頼そのものへの配信で公的にはもっと罰が大きくてもよい。(2009/07/12)

患者側家族の支援にかけつける農民達が、知人の行動の正否をさておいて、知人との信義を重んじる中国人らしいですね。知人との信義を重んじるのが中国人の長所。逆に言うと、知人以外との信義を軽んじるのが中国人の短所。(2009/07/11)

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三品 和広 神戸大学教授