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戦場への「派遣会社」PSC、安売り競争が激化中

  • 白土 晴一

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2009年7月21日(火)

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 以前、このコラムでもソマリア沖で多発する海賊被害と、その対策に追われる各国の海軍艦艇についてお伝えした

 しかし、こうした国際的な海賊対策だけでは不十分と感じているのだろう、ソマリア周辺海域を航行する船舶を有する海運会社の多くが、民間セキュリティー会社(PSC, Private Security Company)と契約することで自分たちの船員や貨物を守ろうとしている。


【Security firms hired to take on pirates - 08 April 09】
(中東カタールの衛星放送「アルジャジーラ」英語版の
YouTubeチャンネルより)
イラクやアフガニスタンでの警備事業などで急成長したPSC大手も海上での活動がメインのソマリアにも進出を始めている。「Xe」(元ブラック・ウォーター)などの大手も次々に参入している。

 元々海上輸送や港湾施設のセキュリティーを専門にしてきた「シー・フォース」や「マリタイム&アンダーウォーター・コンサルタンツ」社のような会社だけではなく、イラク警察の訓練教育を請け負っている「ダインコープ」社やイギリス軍のグルカ兵たちが創設した「グルカ・インターナショナル」のようなPSCも、さまざまな海賊対策サービスを展開している。

軍隊の民営化!?

 イラクやアフガニスタンで脚光を浴びるようになったPSCは、ソマリアでも商機を逃さないように営業に奔走しているらしい。

 PSCは、民間軍事会社(PMC, Private military company)や民間軍事契約業者 (Private military contractor)とも呼ばれ、紛争地帯への警備員派遣や軍隊の訓練プログラム作成、兵站業務、戦場での建設作業などなど、戦争遂行に関わる多種多様なサービスを政府・軍・国際機関などから委託される、新たな軍事関連の企業群のことである。

 米シンクタンク・ブルッキングス研究所上級研究員P・W・シンガーの著作「Corporate Warriors」(訳書『戦争請負会社』・日本放送出版協会)などにより「戦争のアウトソーシング」「軍隊の民営化」として注目されるようになった。

 アフリカの内戦で名を馳せた南アフリカの「エクゼクティブ・アウトカムズ」社やアメリカ国務省から警備を委託されていた「ブラック・ウォーター」社、イラクでの兵站業務や軍事施設建設で急成長した「ケロッグ&ブラウンルート」社、航空機による監視と偵察を専門にする「エア・スキャン」社などが有名だろう。


【Iraq and Afghanistan are being left to mercenaries】
(ロシア国際ニュース配信会社「Russia Today」のYouTubeチャンネルより)
アメリカのPSCを少し批判的に取り上げているが、PSCはアメリカだけに存在するわけではなく、ロシアにも第二次チェチェン紛争で兵站支援・警備などで活躍したPSC「Альфа-Центр」などが存在している。

 これまでの歴史の中でも傭兵や軍の兵站を代行する運輸業者のように、軍隊の任務を代行したり支援したりする個人事業主や企業は多数存在していたが、現在のPSCは従来の軍隊では柔軟に対応するのが難しい任務、例えば、外交官や国際機関、NGO、ジャーナリストなどの警備業務や兵站支援、新しく創設される軍・警察の長期的な人材教育、果てはゴミ処理や基地内のショッピングモール建設まで、多種多様な軍事的なサービス分野に人材を派遣することをセールスポイントにしている。

「戦死」扱いしないですむ要員

 PSCは、冷戦終結後、それまでの主として巨大な正規軍同士の戦闘を想定した「重厚長大な軍隊」から、ゲリラやテロリスト相手の非対称戦争(低強度紛争)の比重が高まってきた。経済的な効率性や即応性を重視した「軽薄短小な軍隊」への軍事組織改革を進めている先進各国政府には必要不可欠な存在になりつつある。

 戦争を遂行する側の理屈でいえば、PSC社員が戦場で死亡しても公式な「戦死」として扱われないため、その責任を問われることも少なく、戦争の被害を低く見せることができ、国民の厭戦や反戦の機運を抑えられるという面もあるのだろう。

 いささか語弊はあるかもしれないが、軍隊であっても常に戦争に備えて多くの人材や部門を抱え込んでおくことが財政的に難しい時代となり、必要があればその都度雇える「戦争の派遣社員」が必要になったということかもしれない。

 そのため、2007年にはイラクで、150社以上のPSCが活動していたとも言われている。

 しかし、こうしたイラクやアフガニスタンの戦場で急成長したPSCは、多くの問題も引き起こしている。

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