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携帯でも使える地図検索、最大の“スポンサー”はどこ?

  • 白土 晴一

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2009年8月4日(火)

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 平成19年に成立した「地理空間情報活用推進基本法」(NSDI法)では、主に二つの技術に関する利用促進の共通基盤を構築する方向性が示されている。

 一つは「衛星測位システム」、もう一つは「地理情報システム」、どちらの技術も、今後の社会で重要な情報インフラとなるのは間違いない。

 最初の「衛星測位システム」とは、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)のように複数の人工衛星からの電波を受信することで、位置を特定するシステムのこと。今ではGPS受信機を搭載したカーナビや携帯端末、測量機器など、「衛星測位システム」を使用した製品はたくさん見ることができる。あなたのポケットにも入っているかもしれない。

 では、もう一つの「地理情報システム」とは何か?
 関係者の方には失礼ながら、こちらの方が知名度は低そうだ。

 二つの技術は関連性が高く、現在では切っても切り離せないものとなっているが、今回は、あえて「地理情報システム」を中心にあれこれ小窓を覗いてみたいと思う。

 「地理情報システム」(Geographic Information Systems, 以下GIS)は、この上記NSDI法では「地理空間情報の地理的な把握又は分析を可能とするため、電磁的方式により記録された地理空間情報を、電子計算機を使用して電子地図上で一体的に処理する情報システム」と定義されている。

携帯でレストランの地図を出す、それはもうGIS活用

 相変わらず、法律の条文とはややこしい上に分かりくいものである。

 しかし、難しい説明をしなくとも、皆さんはすでに「地理情報システム」を利用されていると思う。

 例えば、「Google Map」や「Yahoo!地図」、国土地理院の「電子国土ポータブル」など、様々な情報が付加されたネットの地図サービスを使って、初めて訪れる営業先やレストランの場所を検索したことはないだろうか?
 それは、立派に「GIS」を活用していることになる。


【Google Maps Introduction】
(「Google」のYoutubeチャンネルより)
「ストーリービュー」問題などで批判もあるGoogleだが、「GIS」を最も大胆に企業戦略に取り入れた企業の一つであることは間違いない。

 簡単に言ってしまえば、「GIS」とは「何がどこにあるか」という地図と「それが何であるか」を示す複数の情報をコンピュータの地図上で統合し、視覚的に分かりやすく表示させるシステムと言うことが出来るだろう。

 時間に遅れないように時刻表や移動時間を検索し、道に迷わないように「Google Map」と「ストーリービュー」で事前に場所を確認しておく。普通の生活の中でそうしたことが可能になったのは、我々が「GIS」の恩恵を被っている証拠なのである。

 「GIS」の始まりは、1960年代にカナダ政府によって開発された「カナダ地理情報システム」(Canada Geographic Information System、CGIS)だったと言われている。このシステムは、膨大なカナダの国土における土地資源図をコンピュータで作成したもので、数百人の技術者が3年以上掛かる作業を自動処理させ、経費節減の面で成果を上げただけではなく、現在の「GIS」に通じる基本構造を確立した革新的なシステムであった。

始まりはカナダから

 この計画の提案者であるイギリス人地理学者ロジャー・F・トムリンソンは、「GISの父」と呼ばれ、後に民間人では最高位の「カナダ勲章」を受勲している。


【DMTI Spatial hosts GIS pioneer】
(カナダの地理情報会社「DMTI Spatial」のYouTubeチャンネルより)
髭を生やしている人物がトムリンソン氏。33年英国ケンブリッジ生まれ、50年代にはイギリス空軍のパイロット、退役後はノッティンガム大学などで地理学を専攻した。「CGIS」開発後は、カナダ、アメリカ、オーストラリアの政府・企業のコンサルタントとしても働いている。

 それまでも農業生産高や人口など、いくつかの情報を盛り込まれた地図が数多く作成されてきたが、紙の上に記すには限界があり、情報量は限られていた。ところが、コンピュータが発達したことでデジタル・マッピングが一般化し、いくつもの異なる情報を重ねられる「レイヤ構造」が可能となると、時系列毎の表示、3D化などのより効果的な視覚化、作成・編集作業が容易になり、平面的な地図では不可能であった多角的な情報表示や高度な分析、シミュレーションなどが行えるようになったのである。

コンピューターの導入で応用サービス開花

 この技術は、地質調査のようなアカデミックな分野だけではなく、道路や施設の管理、都市計画、農作物の収穫予測、災害時の行動計画作成など、政策や行政サービスにも幅広く利用されている。


【GIS Online Services】
(サンフランスシスコ市が運営する「SFGTV」のYouTubeチャンネルより)
サンフランシスコ市は行政サービスとして「GIS」を活用し、予算や犯罪率、公共事業の工事状況などをネット上で公開している。アメリカでは、教育や環境保護、ゴミの収集や選挙地区の情報を住民に提供する「GIS」を設置している自治体は多い。日本でも、三重県や岐阜県、西東京市などは「GIS」を積極的に取り入れている。

 民間企業にとっても応用範囲は広く、施設管理や流通の効率化、利用頻度の高い場所へのタクシー配送、顧客情報を基にした出店計画など、実際に企業が「GIS」を利用している事例は数多い。また、自ら収集したデータを元に、独自の「GIS」を開発し、特別な地理情報サービスを行う企業も年々増えてきている。

 しかし、「GIS」の発展に多くの資金や労力を投入した存在があってこそ、これらのサービスは可能になっている。そう、軍隊や情報機関だ。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長