
ダイヤモンドのイヤリングやクリスタルの写真立てが並ぶ米高級宝飾店ティファニーの陳列品の中に、置かれたことのないものがある。それは、値引き表示だ。だが、だからといって安売りがないというわけではない。同社は昨年末、売れ筋商品の1つである婚約指輪を密かに約10%値引きした。店員は客に値引きについて知らせるが、それ以外には全く宣伝しない。
同社はシンボルである空色の箱の輝きを守ろうとしているのだ。マイケル・コワルスキーCEO(最高経営責任者)にとって、それは(値引きしないという)価格戦略をしっかり守っていくことを意味する。「我が社の伝統的価値観を維持するという話だ。万一それを放棄する事態になれば、その影響は大きいだろう」と同氏は話す。
ティファニーなどの高級ブランド各社は、いかにブランドイメージを損なわずに値引きで顧客を獲得するかというジレンマに直面している。安売りの宣伝をしなかったり、一部の顧客だけに「特別」価格をメールで知らせたりという控えめな道を選ぶ企業もあるが、在庫解消と販売増加を目指して積極的な値引き戦略を取る企業もある。
コンサルティング会社の米ベイン・アンド・カンパニーの予測では、今年の高級品売上高は10%減だ。もっと悲観的な予測もある。専門家は、そのために「シャネル」から「クロエ」まで様々なブランドが、客を呼び込むために値下げしていると言う(シャネル広報は値下げはドル高のために過ぎないと述べている。クロエは価格戦略についてノーコメントだった)。
高級ブランドに値下げは危険
一方、窮地に陥っている高級デパート、サックス・フィフス・アベニューは安売りを尻込みしたりしない。昨秋在庫過剰に直面した同社は、クリスマスの休暇シーズンに最大70%の値下げをした。店内には値下げ表示が張られ、大幅値下げを宣伝するメールが大量に送信された。スティーブン・サドーブCEOは「我々は正しいことをした」と言う。値下げにより過剰在庫が解消され、「ブランドイメージも傷つかなかった」からだ。
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