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オバマ外交が「綱渡り」と言われても仕方がない理由

孤立化するイスラエルに“Aチーム”を派遣

2009年8月11日(火)

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 オバマ政権誕生から半年が過ぎ、オバマ外交がフル回転を始めている。

 イランへの対話の呼びかけ、中東和平へのイニシアチブ、オバマ大統領による初のロシア訪問や「核なき世界」に向けた取り組みなど、短期間に次々と活発な外交活動を展開している。いよいよ本格的に動き出したオバマ政権の「スマートパワー」外交。その狙いやアプローチ、そして今後の行方について分析してみよう。

足並み乱れる米・イスラエル関係

 7月27日、イスラエルを訪問中のゲーツ米国防長官がイスラエルのバラク国防相と行った記者会見は、現在のアメリカとイスラエルの関係を象徴するような「ぎこちなく、よそよそしさの目立つ、足並みの乱れたもの」だった。両国の政府代表が共同記者会見の場で、これほど緊張関係を公に表面化させたのも珍しい。

 「イランが核開発を続けていることは、我々にとって最も大きな関心事であり、このイランの核武装計画を国際的な努力を結集することで止めさせることが望ましいと思う。我々はイランの核開発の継続が、地域全体だけでなく、世界秩序をも不安定化させるものであることを懸念している。現在の時点では、優先順位は制裁の方に向けられてはいるが、イスラエルとしては“いかなるオプションも選択肢から排除されるべきではない”という基本的な立場を守り続けている」

 最初に口を開いたバラク国防相はこのように述べて、イランの核開発の脅威を語り、「軍事オプションを排除しない」方針を改めて強調した。「いかなるオプションも選択肢から排除されるべきではない」という言葉は、外交的には「軍事オプションも選択肢に入れる」という意味として理解されており、イスラエルのいつもの主張である。

 一方、これに対するゲーツ国防長官の発言は、そのトーンが違うだけでなく、脅威に対するアプローチの仕方までまったく異なっていた。

 「長期的なイスラエルの安全保障は、究極的には持続可能な包括的な中東の平和にかかっています。この目標は地域の安定にとって決定的に重要です。この和平を前進させるために、わたしたちは(イスラエル・パレスチナの)2国家の解決策を可能にさせるための条件について提案をしていくつもりです」

 バラクがイランの核の脅威について語り、その脅威を排除するためには軍事オプションも辞さない、と鼻息を荒くしたのに対し、ゲーツは何と中東和平の必要性を説いたのである。この2人はまるで別の方向を向いて、別の話をしているかのようであった。

 さらにイランに関してゲーツは、

 「わたしたちは、イランが核武装の能力を持つことの負の影響について完全に合意したと考えています。そしてあらゆる機会を使ってイランを説得し、イランの実際の安全保障の利益にとって何が重要なのかを再考させるべく努めることの重要性についても合意したと思っています。この目的のために、オバマ大統領はイランに対する関与政策を考え、万が一イランがそのような(核武装)コースをとる場合に大きなコストを払わせるために制裁措置を検討しているのです」

 と述べて、関与政策(エンゲージメント)と制裁という2つのオプションを用意していると説明したのである。

 するとこれに対してバラク国防相は、

 「私は現時点でそれ(アメリカのイラン対話路線)について多くを語るのは意味がないと思っている・・・(中略)イスラエルはアメリカに対してどうすべきかなどと言える立場にはない・・・(中略)我々はいかなるオプションも排除すべきでないと思っており、それが我々の政策である。我々は同じ立場を他の政府にもとるように推薦しているが、いかなる政府に対しても命令できる立場にはない」

 とかなり皮肉たっぷりに述べたのである。

 ゲーツが「関与政策」と「経済制裁」によってイランの核兵器保有を防ぐことが可能だという点を強調し、「軍事オプションも辞さない」と表明するイスラエルに事実上釘を刺したのに対し、バラクは、この短い記者会見の中で、軍事オプションの必要性を2回も繰り返し述べて対抗したのだった。表面的には何とか取り繕ってはみたものの、どうしようもない路線の違いに、ピーンと緊張の空気が張り詰めている様子が伝わってくる。

危機感募らせるイスラエル

 イスラエルのイラン核開発に関する懸念は、我々日本人の想像をはるかに超える深刻なものである。

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「オバマ外交が「綱渡り」と言われても仕方がない理由」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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