Ian Rowley (BusinessWeek誌、東京支局特派員)
米国時間2009年8月4日更新 「Another Loss for Toyota, but Signs of Recovery」
トヨタ自動車(TM)が四半期決算で計上した数百億円もの赤字は、普通の経済状況であれば、大問題となっただろう。何と言ってもトヨタは、2008年に米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜いて販売台数世界一の自動車メーカーになるまでは、予想通りかそれを上回る好業績を発表するのが常であり、業界で最も高い利益を上げていた企業だ。
だが、8月4日に東京で行われたトヨタの四半期決算記者会見では、赤字が市場予想より小幅だったことが、トヨタをはじめとする日本車メーカーが最悪期を脱した兆候として好感された。トヨタの伊地知隆彦専務は記者団に対し、「業績は着実に改善している」と述べた。
一見すると、決算の数字はそれほど良好とは思えない。トヨタの2009年4〜6月期の連結決算は、最終損益が778億円の赤字(前年同期は3536億円の黒字)で、わずかながら黒字を確保したホンダ(HMC)や165億円の赤字だった日産自動車(NSANY)に比べると見劣りする。トヨタはこれで3四半期連続の赤字となった。
それでも、トヨタの業績はほとんどの業界観測筋の予想を上回った。米情報メディア大手ブルームバーグが集計した東京の自動車アナリスト5人の予想中央値では、1840億円の赤字が見込まれていた。
実際の赤字幅も、売上高が前年同期比38%減の3兆8360億円に落ち込んでいるにもかかわらず、7658億円の赤字だった前期(2009年1〜3月)と1647億円の赤字だった前々期(2008年10〜12月)に比べて大幅に縮小した。
政府の新車購入支援策が奏功
さらに重要なのは、トヨタが業績見通しを上方修正したことだろう。国内外の政府の新車購入支援策による効果が考慮され、2010年3月期の最終損益見通しは従来予想の5500億円の赤字から、4500億円の赤字に上方修正された。一方、売上高見通しは従来予想を3000億円上回る16兆8000億円へと引き上げられた。
また、国内販売が予想外に堅調なことから、通期の販売台数見通しには10万台が上乗せされた。伊地知専務は、「新車買い替え補助制度」など、各国政府の優遇策の効果で「一部の市場が活性化しつつある」と語った。
さらにトヨタは、円安の恩恵を受けることにもなりそうだ。昨秋の世界金融危機を境に、米ドルをはじめとする主要通貨に対して円が急騰。現在も日本の輸出企業にとっては非常に厳しい円高水準が続く。
トヨタの2010年3月期の業績見通しでは、今年度7月以降の前提為替レートを1ドル=90円に設定。一方、現在の為替レートは1ドル=94.9円だ。円相場が対ドルで1円円安に振れると、トヨタには年間約400億円の為替差益が生まれるため、このまま円相場が前提為替レートを下回る水準で推移すれば、利益は予想を上回ることになるだろう。
トヨタの思いのほか好調な業績は、7月29日に決算発表したホンダと日産のパターンを踏襲している。昨秋、米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻を機に世界の自動車販売が落ち込んで以来、日本の自動車大手3社はそれぞれ、非正規労働者の契約打ち切りや工場の一時閉鎖、事業の延期・廃止など、痛みを伴う大規模なコスト削減に踏み切った。
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