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「タリバンは今や勝利しつつある」のか

最初の山場は8月20日・アフガニスタン大統領選後から

2009年8月21日(金)

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 2009年10月で、アメリカは、アフガニスタンでのアルカイダおよびタリバンとの戦争を開始してから丸8年を経たことになる。この8年という期間は、アメリカの戦史上、ベトナム戦争に次ぐ長いものである。これまでに連合国軍の戦死者は1200名を超えており、その内米兵の死者数だけで750名以上に上っている。もちろんこれには数千人に上るとみられる現地アフガン人の犠牲者数は含まれていない。

 今年の7月には、1カ月間の戦死者数としては過去8年で最高の44名の米兵がアフガニスタンで亡くなっており、8月の米兵死者数もすでに11名に上っている(8月中旬時点)。急増する米兵の犠牲者を背景に、アメリカのメディアは連日このアフガン戦争に関するニュースを報じている。

 その中でも一際目立ったのが「タリバンは今や勝利しつつある」という衝撃的な見出しをつけた8月10日付の「ウォールストリート・ジャーナル」紙の特集記事であろう。同紙は駐アフガン米軍司令官スタンリー・マクリスタル大将とのインタビューを掲載し、「アフガニスタンの現状はタリバンが優勢だ」との同大将のコメントをセンセーショナルに引用した。

民間人の安全を第一に掲げる新戦略

 今年の3月27日にオバマ大統領は包括的な対アフガニスタン戦略を発表し、このアフガン戦争の目標を、「パキスタンとアフガニスタンにいるアルカイダを崩壊させ(disrupt)、組織を解体させ(dismantle)、打倒する(defeat)こと、そして将来にわたりいずれの国にもアルカイダが戻ることを防ぐことだ」と述べた。

 このホワイトハウスの新戦略を実施すべく新たに現地の司令官として派遣されたのがマクリスタル大将であり、同大将は、「民間人の犠牲者を最小限に抑えること、民間人の安全を守ること」を第一とすることを定めた新たな軍事戦略を打ち出した。「民間人の安全確保」を「敵の殲滅、タリバン戦闘員たちの掃討」より上位に位置づけたというのは、米軍の軍事ドクトリンの「大変革」に相当する、と「タイム」誌は記している(「TIME」July 10)。 

 アフガン民衆のアメリカに対する敵意を和らげ、アフガニスタンに行政機関を作り経済を立て直す機会を与え、30年間にわたる戦争の痛みからこの国を癒す。それにより「タリバン優勢」の状況を変えていくことを目的に、オバマ大統領と彼の将軍たちは根本的に戦略を転換させている。

 「われわれが理想としているのは、タリバンが出ていかなくてはならなくなった地域を無血で平定していく状況に近いものだ」とマクリスタル司令官は「TIME」誌とのインタビューで述べている。そして、こう発言した3日後に、現地の米軍及びNATO軍に対して新たな指令を通達した。

 「われわれはタリバンを何人殺したかという基準で作戦を続けていてもこの戦争に勝利することはできない。アフガン人民をタリバンの武装反乱勢力と引き離すことができるかどうかが重要なのだ。そしてそのためには、各部隊指揮官たちが武力行使の原則を見直し、とりわけ住宅地域をはじめ民間人の犠牲者が出る恐れのある地域での近接航空支援を制限することだ」との指令を出している(「TIME」July 10)。

新戦略の下で行われた初めての軍事作戦

 この新しい指針はすでに実行に移されており、7月2日に4000名の海兵隊員と650名のアフガン軍をアフガン南部のヘルマンドに送り込んだ軍事作戦において、米軍は大砲を使用せず、航空機からの空爆も一切行われなかったという。海兵隊はほとんど抵抗らしい抵抗に遭うことなくヘルマンドを占拠。反乱勢力はゲリラ戦の基本に忠実に従い、海兵隊と正面からぶつかることなく地下に潜り、散発的な攻撃を米軍に対して行うようになる。これに対して米軍は市内のあちこちに小さな拠点(outpost)を築いてそこに留まり、治安維持に努める作戦をとっている。

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「「タリバンは今や勝利しつつある」のか」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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