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インド政府、新型インフルエンザ対策の本気度

脆弱な医療インフラで対処は可能か

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2009年8月26日(水)

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Mehul Srivastava (BusinessWeek誌記者、ニューデリー)
米国時間2009年8月18日更新 「India Shrugs at the Swine Flu Outbreak

 メキシコの首都メキシコシティーで最初に新型インフルエンザの感染が確認された時、メキシコ政府はまる3日間にわたって住民に自宅待機を求めた。これに対しインド政府は、8月に入りインド西部の大都市ムンバイで新型インフルが猛威を振るい始めた時、映画館と学校を閉鎖したのみで、感染の収束を確認しないまま、わずか数日でこれらの閉鎖を解除した。

 新型インフルエンザによるインド国内の死者数は、8月17日までに28人に達した(編集部注:24日までに72人)。なかでも、感染拡大が最も深刻と考えられているのが、ムンバイから南へ車で2時間の距離にあるプネだ。

 プネでは感染のスピードが速すぎて、医師も感染者数を把握できないような状態で、保健当局によると、死者は14人に上っている。この地域で確認された感染者数は1700人近くに上り、人との接触による感染が急速に拡大。死亡率は確認感染者の1%近くに達し、近年では最も深刻な感染拡大事例の1つと見なされている。

 だが、感染拡大が懸念されるにもかかわらず、ムンバイのショッピングセンターは週末も営業を継続。マスクを着用している人の姿もわずかに見られたが、大半の人は感染を心配していないようだった。

 8月14日、ムンバイではヒンドゥー教の神、クリシュナ神の誕生を祝う祭りが開催され、「ダヒ・ハンディ(ヨーグルト壺)」と呼ばれる行事が行われる会場は、見物する住民であふれかえっていた。ダヒ・ハンディとは、通りの高所にヨーグルトの入った陶製の壺を吊るし、若者や子供がその壺に届く高さの人間ピラミッドを作って登り、壺を割るという伝統行事だ。

 ムンバイ北部地域の祭り見物に来ていたラジェシュリ・ムールティさん(14歳)は、「新型インフルエンザって何?」と友人にとぼけてみせた。「せっかくのお祭りなのに、なんで新型インフルエンザなんて気にするの?」。

 ムールティさんがこう語るのは、インド政府の見解の影響もあるのかもしれない。インドのマンモハン・シン首相は8月15日、独立記念日の演説の中で、国民に対し過度の心配は無用だと平静を呼びかけた。「感染拡大の恐れや不安から、日常の活動を控えなければならないような状況にはない」(シン首相)。

インドの脆弱な医療インフラ

 今年4月、メキシコで初めて新型インフルエンザの発生が確認されて以来、世界保健機関(WHO)は防疫対策に奔走し、世界中で検疫体制が強化されたにもかかわらず、インド政府に危機感が欠如しているように見えるのはなぜか。実際、本格的な大流行になれば、インドの脆弱な医療インフラでは対処しきれないはずだ。

 エコノミストらは既に、この点を憂慮している。豪金融大手マッコーリーのエコノミスト、ラジブ・マリク氏は、新型インフルエンザ大流行の可能性をGDP(国内総生産)予想の検討材料にしており、「新型インフルエンザの脅威は潜在的なリスク要因で、特に消費者心理に影響するリスクは大きい」と指摘する。ただし、インド経済に対する影響度を判断するのは時期尚早だという。

 政治的観点から見れば、インド政府の消極的な対応も理解できる。インド総選挙での圧勝からわずか3カ月(BusinessWeekチャンネルの記事を参照:2009年5月23日「インド総選挙、与党圧勝で経済は?」)しか経っていないのに、最大与党・国民会議派は早くも苦境に立たされているのだ。

 インドの農業に不可欠なモンスーンの時期の降雨量が不足し、国内の5分の1の地域が干ばつに見舞われている影響で、食料価格がじわじわと高騰している。また、昨年11月にムンバイで発生した同時多発テロの容疑者に対する裁判の遅れを巡り、国内新聞各紙は連日、政府を批判している。

 世界最多の発行部数を誇るインドの英字紙タイムズ・オブ・インディアは8月15日、「これまでの政府の対応が様々な疑念を生んでおり、しかもこの疑念には十分な根拠もある」との論説を掲載した。

 とはいえ、インドの金融センターで人口1800万人を擁するムンバイの経済活動を停止させるなど、ほぼ不可能だ。

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