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チャンピオンは諦めない。フォアマンが挑む子どもたちの心

  • 林 壮一

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2009年9月10日(木)

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 数年前、米国で最低レベルの高校の教壇に立ってくれと依頼された際、真っ先に思い浮かんだのが、元世界ヘビー級チャンピオン、ジョージ・フォアマンの顔だった。

 フォアマンは1983年より、私財を投じて地域の若者のために働いている。教師になることを報告すると、フォアマンは言った。

 「いいね! 時間をかけて向き合ってあげることが大事だよ」

 フォアマンは1968年に開催されたメキシコ五輪で金メダルを獲得し、プロ転向後は38連勝を重ねて世界ヘビー級タイトルを獲得した。38勝のうち、ノックアウトを逃したのは僅か3試合という恐るべきハードパンチャーであった。

 彼の行く手を阻むものなど見受けられないと思われたが、3度目の防衛戦でモハメド・アリにKOされて王座転落。この一敗をフォアマンは、「自己の存在が粉々に砕け散った」と語る。

 カムバックロードを歩みながらアリとの再戦を目指していた彼は、28歳にしてキリストの啓示を聞く。そしてボクサーを引退し、牧師として第二の人生を歩み始めた。

裏切りを越え、45歳でチャンピオンに復帰

フォアマンの教会、毎週日曜日はおよそ80人の隣人や信者が元チャンピオンの言葉を聞きにやって来る。

 平行して情熱を注いだのが、地元の非行少年に手を差し延べるボランティア活動である。自らユースセンターを設立し、将来の見えない子供たちに「セカンドチャンス」を与えようと、奮闘して来た。

 しかし38歳の頃、会計士らに財を横領され、教会とユースセンターを手放さねばならない状況に陥る。フォアマンは己の信念を曲げず、カネを稼ぐ手段としてカムバックを選んだ。

 10年ものブランクに加え、40キロ近く太ったフォアマンは、ボクシングジャーナリストやファンから「正気か?」と冷笑されながらもリングで勝ち続ける。己を慕う人々、支えと感じている隣人たちを裏切るわけにいかないという思いが、闘うことへのモチベーションとなった。

 やがてフォアマンは45歳にして、世界ヘビー級チャンピオンに返り咲く。彼の金星と足跡は、全米を感動の嵐に包み込んだ。

 “ビッグ”というのが、フォアマンのニックネームである。単に身体が大きいというだけでなく、人間としての器のサイズも表している。

 教壇を去る折、私は受け持っていた「日本文化」の授業を30分ほど中断し、フォアマンの言葉を生徒たちに説いた。

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