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「『やればできる』と急かすのは、僕は嫌いです」
~ジョージ・フォアマンの息子、再生教育を語る

親子二代のボクサー、ドロップアウトする子供たちを救う

  • 林 壮一

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2009年9月17日(木)

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 家庭や学校で問題を抱える若者を集め、その更生の手引きをする元世界ヘビー級チャンピオン。25年続くジョージ・フォアマン・ユースセンターの新たなリーダーには、息子のMONKが納まりそうだ。父の奉仕活動のよき理解者であり、後継者になろうとしている次男をインタビューした。

◆   ◆   ◆

 ユースセンターの内部に入ると、身長193センチのジョージ・フォアマンより、さらに長身の若者が扉の向こうから現れた。フォアマンの次男、MONK(26歳)である。

インタビューに応じるMONKは、聡明さが感じられた。素直な好青年だ

「僕が生まれた1983年というのは、このユースセンターが建てられた年なんです。小さい頃は、父がボクシングの世界チャンプだったなんて全然知りませんでした。ただ、ここでボクシングのコーチをすることもあったので、だんだん解していきました。

父がカムバックしたのは僕が4歳の時ですから、ほとんど記憶にありません。でも、7歳の時にクラスメイトの多くが父の試合のことを話題にしていて、『へぇ、有名人なんだ』って。新聞やTVにも出ていましたからね(笑)」

 MONKの話す英語は非常に美しく、インテリジェンスを感じさせる。

「父には、とにかく必死で勉強しろと仕付けられました。いい成績をとれと。喧嘩なんかしたら、物凄く怒られました。怖い存在でしたよ。ボクシングを教わったことはなかったです。高校時代までに僕は、バスケットボール、フットボール、そしてラクロスをやっていました。ラクロスが一番自分に向いていたように思います」

父の言いつけで大学に進んだが

 父の言いつけを守り、MONKはカリフォルニア州マリブにあるPepperdine大学に進学し、ビジネスを学ぶ。3年生の途中から、地元テキサス州ヒューストンのRice大学に転籍し、学業の傍ら父のユースセンターを手伝うようになった。

「ヒューストンに戻って来た頃、身体がなまっていたんですよ。ずっと、勉強が忙しかったもので。当初は父のジムで汗を流せたら、くらいに考えていました。でも、父は講演とキリスト教の普及活動で全米中を飛び回る暮らしでしょう。ユースセンターの人手が足りないことが分かりました。それで、子供たちと一緒に動くことからチャレンジしてみたんです。毎日、4~5時間ここで働くようになりました」

MONKの身長は196センチ。父より体躯に恵まれたヘビー級ファイターだ

 やがてMONKは、ユースセンターにやって来る崩壊家庭の子供たち、あるいは少年院を出たばかりの少年少女たちに、挨拶の仕方、言葉遣い、文章の書き方、数学、食事のマナーなどを教えるようになる。

「勉強がメインではないですけれどね。最低限の常識を身に付けさせ、人生において何が大切かを理解させるのがジョージ・フォアマン・ユースセンターの目的です。大変な仕事ですが、やり始めて1年くらいで、父がどんな気持ちでここを築いたのかが分かりました」

水溜まりの中から立ち直る

 かつてはジョージ・フォアマン自身が、手のつけられない非行少年だった。貧しい家庭に育ったフォアマンは、いつも腹を空かせていた。腹いっぱいになるまで食べたくても、そんな食費はどこにもない。そこで連日、恐喝を繰り返していた。

 ある時フォアマンはパトカーに追われる。「もし、警察犬を放たれたら、オレは捕まってしまう」と水溜まりに飛び込み、転げ回って自分の臭いを消す。逃げおおせた後、激しい自己嫌悪に襲われた。が、中学を中退しており、どう生きていいのか、未来が見えなかった。

 フォアマンは言う。

「私のユースセンターに送り込まれて来る子たちの瞳を見ていると、昔の自分を思い出すんだ。置かれた環境がよく似ているからね。若かった頃の私は、まっとうな価値観というものを持ち合わせていなかった」

 そんな彼は当時の大統領、リンドン・ジョンソンが貧民救済策として設けた職業部隊で人生をやり直すきっかけを掴んだ。

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