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米リーマンが救済されていたら…

世界は金融危機を避けられたのだろうか

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2009年9月18日(金)

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Theo Francis (BusinessWeek誌、ワシントン支局記者)
David Henry (BusinessWeek誌、シニアライター)
米国時間2009年9月13日更新 「Lehman's Fall: The What-Ifs Linger

 米証券大手リーマン・ブラザーズが米連邦破産法第11条(日本の会社更生法に相当)の適用を申請してから1年。当時を振り返る度に、「もしもリーマンが救済されていたら?」という疑問がわく。果たして、不況に苦しむ今よりも、状況は良くなっていただろうか。

 金融史に残る2008年の金融パニックの引き金となったのは、リーマンの経営破綻だった。すでにその数カ月前から、住宅市場の低迷により信用市場は混乱していた。米連邦政府が米政府系住宅金融機関の米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ、FNM)と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック、FRE)の実質国有化に踏み切ったのは、リーマン破綻のわずか1週間前のことだった。

 だが、世界の金融システムを一気に危機に陥れたのが、リーマンの破綻だったのは紛れもない事実だ(BusinessWeekチャンネルの記事を参照:2008年9月25日「ウォール街、激動の7日間」)。

 リーマンのコマーシャルペーパー(CP、企業がマネー・マーケット・ファンド=MMF=などから資金を調達するために発行する短期の無担保約束手形)が債務不履行に陥ると、個人投資家や機関投資家は一斉にMMFから資金を引き揚げた。これを受け、MMFが現金確保を目的として欧米各地の金融機関から資金を引き揚げると、世界中で融資が凍りついた。各国政府は金融システムの崩壊を食い止めるため、リーマン破綻後の数週間、MMFの保証や経営難の金融機関に対する数千億ドルの公的資金投入など、前代未聞の救済策を打ち出すことを余儀なくされた。

「破綻させるしかなかった」

 米ブッシュ政権と米連邦準備理事会(FRB)の当時の当局者は今でも、リーマンを破綻させる以外に選択肢はなかったと主張する。投資銀行に介入する法的権限も救済資金もなかったというのがその理由だ。

 7月下旬、テレビの公開対話集会に異例の出席をしたベン・バーナンキFRB議長は、昨春の米証券大手ベアー・スターンズの買収支援には乗り出すことができたが、リーマンの問題は深刻すぎてFRBにはなすすべがなかったと語った(BusinessWeek.comの記事を参照:2009年7月26日「Ben Bernanke Gets Real in Kansas City」)。「(リーマン救済には)400億~500億ドル(約3兆6000億~4兆5000億円)もの莫大な資金が必要だったが、FRBにはその資金も介入権限もなく、破綻させざるを得なかった」。

 政策担当者がその気になれば、何らかの救済策を講じることができたのでは、との意見を唱える向きもある。元投資銀行家、米シンクタンク、ブルッキングス研究所(本社:ワシントン)のダグラス・エリオット研究員(経済学)は、「あのような緊急時には、何かしらほかに方法があったはずだ」と語る。

 だが、リーマンを救済していたら事態は好転していただろうか。狭い範囲に限って言えばその可能性はある。もし破綻していなければ、リーマンのCPは価値を保ち、MMFは損失を被らず、パニックは生じなかったとも考えられる。

 しかし、そうとも言い切れない。

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