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担任を殺そうとした少年と向き合う

Opportunity Schoolで教えてみる【その1】

  • 林 壮一

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2009年10月1日(木)

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「やっと結論が出たのよ! 私ね、今学期もOpportunity Schoolの教室で、子供たちと付き合えることになったわ!!」

 テイラー・ハーパーから、そんな連絡を受けたのは9月の第1週だった。夏休みの終わりに会った際、彼女は私が高校教師時代に作成したテキストに目を通しながら言った。

「ねぇ、もし時間に余裕があったら、Opportunity Schoolに送られてくる子供たちと接してやってくれない? 私たちには、あなたのような人が必要なのよ」

 私は即答した。

「いいよ。やるよ!」

 高校の非常勤講師の座を奪われてから、ずっとチャンスがあれば教育現場に戻りたいと冀っていた。進学校ではなく、社会からドロップアウトしかかっている子供たちと付き合いたかった。そう、前回この連載でお伝えしたジョージ・フォアマン親子のようにだ。

 取材を重ねるうちにハーパーと私は友人同士になっていた。彼女の息子、娘とお茶をしたこともある。

担任を殺そうとした少年

「早速だけれど、できるだけ早く来て。今学期が始まってOpportunity Schoolで授業を受けている子は、まだ一人だけなの」
「たった一人なの? あの教室、30人は入れるじゃない」
「そうなのよ。新年度がスタートしたばかりでしょ、学校側もまずは自分たちで解決策を見出そうとするわ。彼にあなたのことを話したら、喜んでいる。12歳の男の子よ」

小学6年の少年は、54×22の計算を間違えていた。

 9月8日午前10時、私は久しぶりにOpportunity Schoolを訪ねた。ハーパーの説明通り、小柄な少年が、たった一人でホワイトボードの前に立ち、掛け算を解いている。3つの問題のうち、1つは解答が間違っていた。

「ソウイチ、ちょっと入って」

 まずは教室に隣接されたハーパーのオフィスで打ち合わせである。

「どうだった、フォアマンへのインタビューは?」
「とっても良かった。相変わらず素敵な豪傑だよ。『問題児と付き合う時、肝心なのは、彼らの親父になることだ』って語っていた。俺は〈父〉ってタイプじゃないけれど、ここの子供たちの兄になれるように努めてみるよ」
「期待しているわ」
「で、彼はどんな子なの?」

 ハーパーは一瞬うつむき、顔を上げながら話した。

「担任の教師を殺そうとしたんですって」
「えっ」

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