「茂木崇の「タイムズスクエアに魅せられて」」

進化したターゲティング広告で新聞・雑誌のネット版の収入を増やす方法

ミズーリ大学の研究プロジェクトから生まれたサークラブズ

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2009年10月2日(金)

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 このところ本欄では、新聞・雑誌がネット上で新たな収入源を開拓するための最新の動向について扱っている。前々回は課金、前回は寄付について扱った。

 今回は、読者が関心のある記事を次々と提示することにより広告・購読料収入を増やすことを目指すサービスを準備中のサークラブズを取り上げる。

サークラブズのロゴ

 サークラブズは、ミズーリ大学のドナルド・W・レイノルズジャーナリズム研究所で構想があたためられ、今年6月に会社として設立された。また、AP通信から技術とAPエクスチェンジ(APE)というAP通信の記事のデータベースへのアクセスについて協力を受けている。ドナルド・W・レイノルズジャーナリズム研究所とAP通信はサークラブズに資金も提供している。

 サークラブズのプレジデントのジェフ・ヴァンダー・クルートとエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデントのマーティン・ランゲヴェルドに話を聞いた。

読者は、自分の関心のある記事を提示してもらえる

 サークラブズは、来年1〜3月に第1弾として「サーキュレート」というサービスの開始を目指している。

 サーキュレートは、グーグル経由であちこちのニュースサイトやブログに飛んでいくのは時間もかかるし非効率的だ、という考えから出発している。それよりも、関心のあるニュースが次々と提示された方が、読者にとっては迅速で効率的なのではないかという考えに立つ。

 以下、いささか説明が煩雑かもしれないが、その仕組みを見てみよう。

 ここでは、フットボール好きの男性がサーキュレートを利用するという設定である。なお、下記の図は構想段階の概略を示したもので、正式なリリース版ではない。

(1) サーキュレートを案内するメールや手紙が届き、登録する。
登録の際に、性別・年齢・郵便番号・趣味などごく一部の個人情報を入力する。
(2) サーキュレートがインストールされ、ブラウザーに組み込まれる。ブラウザーは、インターネットエクスプローラー、ファイアーフォックス、サファリ、クロームなどの様々なバージョンにインストールできるようにする。また、サーキュレートは拡大することもでき、閉じることもできる。
(3) スポーツのESPNのサイトを開くと、フットボールが趣味だと入力していたので、APEからフットボールに関する記事の見出しがサーキュレートに現れる。
画像のクリックで拡大表示
(4) ついで、地元紙のサイトに掲載された読者の関心のある記事を読んでみないかとの通知が現れる。
(5) 読者は地元紙のサイトに飛んで地元紙の記事を読む。面白いと思った記事は、サーキュレート経由でフェイスブックやツイッターを通じて友人とシェアする。
(6) サーキュレートは読者の関心のある地元紙の記事の見出しを次々と提示し、読者は長時間その地元紙のサイトの記事を読むようになる。
(7) その後、サーキュレートは、購読料金を支払う必要のあるAPE内のフットボールに関する記事を提示する。フットボールが好きなので、その読者はプレミアム記事のアーカイブに料金を支払う。
(8) サーキュレートの価値を理解した読者は、サーキュレートに「結婚式」に興味があるとの情報を入力する。読者が望めば、この情報は後で消去できる。
そして、フェイスブックで暇つぶししている時に、読者のガールフレンドが読者についてツイッターでつぶやいているという通知を受け取る。通知を受け取る際に、読者は結婚相談所の広告も見る。
読者が結婚相談所の広告をクリックすると、読者の関心をサーキュレートが把握しているため、広告料金は高くなる。高くなった分の広告料金はサーキュレートと地元紙で分配する。

読者にとって便利なサービスを目指す

 サーキュレートの特色をここで整理すると、下記の3つにまとめられる。

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著者プロフィール

茂木 崇(もぎ・たかし)

茂木 崇

1970年生まれ。東京工芸大学専任講師。専門はマス・コミュニケーション論、アーツ・マネジメント論で、守備範囲はニューヨークの新聞・雑誌・テレビ・デジタルメディア・広告・音楽・ブロードウェイ。1年のうち2カ月ほどをニューヨークでの取材と調査にあてている。



このコラムについて

茂木崇の「タイムズスクエアに魅せられて」

 世界の文明の十字路、米ニューヨーク・タイムズスクエア。この地に魅せられ、研究を重ねる筆者が、米国のメディア、エンターテインメント、ファッション産業などについて、縦横無尽にテーマを選び、最新動向をリポートする。

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