経済観察報記者 耿慧麗
中国自動車大手の上海汽車が、米ゼネラル・モーターズ(GM)からインドの工場を買収し、両社の合弁会社である上汽GM五菱汽車*のマイクロカー(日本の軽自動車に相当)をインド市場に投入するという情報が注目を集めている。
*上汽GM五菱汽車は広西チワン族自治区柳州市に本社を置くマイクロカーの専業メーカー。もともとは地元政府傘下の地方メーカーだったが、2002年に上海汽車が50.1%、GM中国法人が34%を出資して子会社化した。
事情通によれば、工場の買収手続は既におおむね完了しており、上海汽車はGMインド工場の大株主になるという。
「まもなく正式発表があるはずだ。上海汽車はGMインド工場の株式を最大50%取得する。遅くとも年末か来年初めには、インドで五菱のマイクロカーの現地生産が始まる」と、この事情通は断定調の口ぶりで語った。
双龍自動車の失敗で海外戦略を転換
韓国の双龍自動車の買収に失敗*してからというもの、上海汽車は海外戦略に慎重な姿勢を見せてきた。昨年後半から、中国メーカーが独オペルやスウェーデンのボルボを買収するのではないかという噂が業界をにぎわせている。だが、国際的経営に長けているとの呼び声が高い上海汽車は、ほとんど何のアクションも起こさなかった。
*上海汽車は2005年、5億ドル(約450億円)を投じて韓国4位の双龍自動車を買収した。しかし労働組合との対立など経営の混乱が続き、双龍自動車は今年1月に法定管理(日本の会社更生法に相当)を申請、事実上破綻した。
それだけに、上海汽車がGMのインド工場を買収するという今回の情報は、高い関心を集めている。
「上海汽車は、GMと共同で五菱ブランド*のマイクロカーをインドで生産することで、中国市場に次ぐ大きなポテンシャルを秘めたインド市場を開拓しようとしている」と、先の事情通は解説する。
*上汽GM五菱汽車は「五菱」ブランドの軽商用車と「シボレー」ブランドの軽乗用車を生産している。中でも五菱ブランドの軽ワンボックス車は、中国市場で5割を超えるトップシェアを誇る。
本紙(経済観察報)の取材申し込みに対し、上海汽車広報部はノーコメントと回答した。だが、インドという大きなポテンシャルを持つ市場に、同社が全く無関心ということはあり得ない。
6月初め、上海汽車は香港に「上海汽車香港投資有限公司」を設立したと発表した。この新会社の主要業務は、完成車および基幹部品の輸出入、投資、技術提携などだ。上海汽車の国際経営力を高めるため、海外事業投資の橋頭堡を築く役割を担っている。
これは、上海汽車の海外戦略の新たな動きと見ることができる。アナリストによれば、双龍自動車の経営に失敗して以来、上海汽車はより堅実なやり方で海外事業を推進しようとしている。これまでのように単独で海外企業を買収するのではなく、他社とパートナーシップを組んで進める。また、いままでの海外企業買収は技術の獲得が主な目的だったが、新たな海外戦略では市場開拓に重点を置いているという。
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