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デトロイトは生きていた(後編)

アメリカ再起へのグラウンド・ゼロ

  • 水野 博泰

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2009年10月6日(火)

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米国凋落論がかまびすしい。社会は病み、産業は空洞化、頼みの金融システムも自壊し、世界に長く君臨してきた超大国はもはやその牽引力を失った、と。だが、本当にそうなのか──。目を凝らしてよく見れば、新時代への変革はもう始まっている。その先例が「死んだ街」と呼ばれたデトロイトにあった。この街のど真ん中に、世界数十カ国から起業家が集結している。廃墟の暗闇に、ほのかな明るさを見た。

前編から読む)

 ミシガン州経済開発公社(MEDC)は、ジェニファー・グランホルム知事の指揮の下、州経済の再活性化のために様々な施策を講じてきた。だが、ただカネを注ぎ込むだけではかつてのフロンティア・スピリッツを取り戻すことはできないと代表のグレッグ・メインは考えている。開拓者魂を持った「人」を呼び込まなければダメだ。

 デトロイトにいなければ、ミシガン州から、ミシガン州にいなければ全米から、米国にいなければ世界から──。ミシガン州と世界を結ぶ新しいゲートウェイになるとメインが期待をかけているのがベンチャー育成支援機関の「テックタウン」である。MEDCは、ウェイン・ステート大学、ヘンリー・フォード・ヘルスシステム、ゼネラル・モータース(GM)のほか、地元財団などとともに資金を援助している。

死んだ街に集まる多国籍人

 いわゆるインキュベーション施設である。起業間もないベンチャーを入居させて事業化に向けた支援サービスを提供する。

 インキュベーションと聞いて、「なんだ、ありきたりだな」と思った読者も少なくないだろう。筆者自身がそうだった。今までいろいろなインキュベーション施設を見てきたが、必ずしもうまくいっている所ばかりではなかった。

 日本の場合、条件が厳しすぎることが多かった。入居していられるのはせいぜい3年まで、それまでに独り立ちしなければならない。支援サービスと言いながら「格安賃貸料のオフィス」というのが実態だったりする。自治体主導の場合、地元出身者に限定するケースもあった。訪れても「シーン」としていて活気を感じないことが多かった。

 テックタウンは、そうしたイメージとはかなり違う。

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 驚いたのは、あえて、荒れ果てたデトロイト市のど真ん中に本拠を置いたことだ。実際には、テックタウンの周りは“荒れ果てて”はいない。デトロイト市が“死んだ街”と呼ばれているとはいっても、本当にボロボロな地域は限られている。正確に言うと、荒れ果てたイメージが強烈なデトロイト市に、あえて本拠を持ってきた判断に驚いたというわけである。

 現地はGM本社ビルがあるダウンタウンから車で5~10分ほどの場所だ。地元の有力大学であるウェイン・ステート大学に隣接する場所にあり、通りを挟んだ向こう側にはヘンリー・フォード・ヘルスシステムの大病院がある。少し北には旧GM本社が入居していた「キャディラック・プレース」というビルがある。今は州政府関連の機関が多く入っていて、ちょっとしたビジネス街になっている。

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 代表のランダル・チャールトンが出迎えてくれた。チャールトンは、10年前にイギリスからデトロイトに移り住み、ここでヒト組織を用いた受託研究サービスを提供するアステランドを起業した経験の持ち主。同社は2005年にロンドン証券取引所に上場を果たした。

 「ここには47カ国から挑戦心に溢れた起業家が集まり、グローバル市場を相手に活動している。世界の人間交差点だ。この多様性こそが、新しいデトロイトの最大の活力になる」

 チャールトンはそう話す。実際、ビルの中に入ると受付には次々に訪問客が訪れてきて、ひっきりなしに人が行き交う。顔を見ると、性別も人種もバラエティーに富んでいる。欧米系はもちろん、中国、インド、中東、ロシア、ラテン、アフリカ…。民族衣装を身にまとっている女性もいる。まさに人種のるつぼ。5階建てのビルに約100社の新興企業が入居してビッグチャンスをつかもうと活動している。

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