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理屈より、弱者を「私が救おう」と動く姿勢こそ!

Opportunity Schoolで教えてみる【その2】

  • 林 壮一

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2009年10月8日(木)

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Opportunity School外観

「Good Morning!」

 Opportunity Schoolの扉を開けると、少年は笑顔を向けてきた。この日の彼は、机の上に地図を広げて南米大陸を国別に色分けしていた。

 テイラー・ハーパーが耳打ちするように語った。

「瓜の写真を見せたら、『大きなおチンチンみたいだね』なんて言っていたわ。男の子なのね」
「元気そうで何よりだ」

 少年がOpportunity Schoolに通い始めてから、10日が過ぎていた。これまで付き合ってきた問題児たちよりも大人しい、とハーパーは話した。

「彼、いい感じで毎日を過ごしている?」
「相変わらず、『この授業はつまらない!』って投げ出そうとする時もあるけれどね。でも、今日は大丈夫。彼、朝からあなたの授業を心待ちにしていたわ」

 少年は午前7時30分に登校し、午後1時半に帰っていく。一般の公立小学校よりも下校が早く、自宅で過ごす時間が長い。この教室でもしっかり学んでいるが、早く元の学校で再スタートを切らないと集団行動ができなくなってしまうように思えた。

「そうなのよ。特に問題はないし、我々としては来週いっぱいで本来の学校に戻そうと話し合っている」

 10日の間に少年とハーパーは打ち解け、ポツポツと過去の生活について聞かされていた。

「HELP」に手を差し伸べてくれなかった担任

 少年は、長期間に渡って学校で虐めにあっていた。殴られたり、蹴飛ばされたり、小突かれたり、といった毎日を送っていたらしい。だが、担任は見て見ぬふりをするだけで、手を差し伸べはしなかった。彼は何度か小さな声で「HELP」と言ったにも拘らず、まったく改善されなかった。

 耐え忍んでいた少年だが、ある日我慢の限界に達する。怒りの矛先は、虐めの首謀者である同級生ではなく、担任に向けられた――。

 私はハーパーに訊ねた。

「その教師は今、どうしているの?」
「どこか、遠くの学校に移っていったらしいわ。校長がそうしたって」
「被害届を出したんでしょう?」
「そうね。私の意見を述べるなら、そういう人は教師に向いていないわ」

 この手の話は日本でも頻繁に起こっているのではないか。しかし、今更、教師の能力を咎めたところで、少年の人生にプラスになることなど無い。担任に殺意を抱いた児童を、その後如何に教育するかが、周囲にいる大人に課せられた事柄であろう。

 私は敢えてハーパーに質した。

「その教師だけどさ、『虐めにへこたれているくらいでは、競争社会では生きていけない。自分で解決してみなさい』っていうメッセージを発していたなんてことはないの?」

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