インド国内に、ハイパーマートや衣料品店、家電量販店、家具店など1000店余りを展開する大手流通企業「フューチャーグループ」。グループの総売上高は20億ドル、総従業員数は3万人を超す。この企業群を一代で築いたキショー・ビヤーニ・グループCEO(最高経営責任者)は、現地では「流通王」と呼ばれている。ビヤーニ氏にインドの消費市場の現状と将来性、そしてフューチャーグループの成長戦略について聞いた。
―― インド経済は一時に比べれば成長のスピードが鈍化したとはいえ、いまだに堅調に伸びています。この勢いは続くのでしょうか。
ビヤーニ これから7〜8年で、インドの経済は2倍に成長するでしょう。その時点で、現在の3500億〜4000億ドルの国内の民需は、1兆ドルにまで膨らむと見ています。
国民の平均年収も、現在の1000ドルから、2000ドルへと倍増していきます。その頃には非常に大きな市場が確立しており、インドの消費が世界の繁栄を支えることになるでしょう。
行動経済学に基づき消費者の行動をシナリオに
―― インドは急激に変わっています。急激な経済成長によって、小売りの現場では消費者のニーズや行動の変容をどのように捉えていますか。
1961年、ムンバイ生まれ。48歳。現地の大学を卒業後、父親が経営していた繊維商に加わった。87年に独立して起業している。2006年には米CNBCの企業家賞を受けた。また、フューチャーグループは2007年には米全国小売連盟から「国際小売業賞」を受賞している
ビヤーニ この10年ほど、経済が成長し人々の収入も急増しています。インドの中間層の間では消費願望が膨らんでいます。フューチャーグループは、こうしたニーズと願望に応えられるように、適正な価格で商品を供給できる体制を作りつつあります。
我々が多用するのは「行動経済学」もしくは「行動科学」です。社内には数多くの社会学者がおり、彼らの知恵をビジネスにも活用しています。神話学者だっているんですよ。
彼らの力を使って我々は「シナリオ・プランニング」をしています。消費者がどのように動くかのシナリオを作っているわけです。
―― 当然、インドだけでなく外資系も参入してきて、競争は激化してくるのでしょうか。
ビヤーニ もちろん競争はいつでもあります。競争こそが市場を育てるのです。ただし、インドではまだ近代的な大手の流通業者の市場シェアは全体の4%しかないのです。これが将来は30%程度にはなるでしょう。
世界の大手流通業者が参入してきても、市場の拡大と流通の近代化が同時に起きていくはずです。我々もその中で、自分たちの事業を伸ばしていきたい。
顧客を徹底的に観察して、新しいタネ探す
―― 1987年に既製品の衣料品店からスタートしたこのグループが、わずか20年余りでハイパーマーケット「ビッグバザール」や家電販売などの小売業から、保険やベンチャーキャピタルにまで事業の幅を広げてきました。その秘訣は何だったのでしょうか。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。






からのご案内




