「アジアで稼ぐ!」

消費者の「行動シナリオ」で売る

「インドの流通王」が語る新興国で勝つ秘訣

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2009年10月14日(水)

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 インド国内に、ハイパーマートや衣料品店、家電量販店、家具店など1000店余りを展開する大手流通企業「フューチャーグループ」。グループの総売上高は20億ドル、総従業員数は3万人を超す。この企業群を一代で築いたキショー・ビヤーニ・グループCEO(最高経営責任者)は、現地では「流通王」と呼ばれている。ビヤーニ氏にインドの消費市場の現状と将来性、そしてフューチャーグループの成長戦略について聞いた。


 ―― インド経済は一時に比べれば成長のスピードが鈍化したとはいえ、いまだに堅調に伸びています。この勢いは続くのでしょうか。

 ビヤーニ これから7〜8年で、インドの経済は2倍に成長するでしょう。その時点で、現在の3500億〜4000億ドルの国内の民需は、1兆ドルにまで膨らむと見ています。

 国民の平均年収も、現在の1000ドルから、2000ドルへと倍増していきます。その頃には非常に大きな市場が確立しており、インドの消費が世界の繁栄を支えることになるでしょう。

行動経済学に基づき消費者の行動をシナリオに

 ―― インドは急激に変わっています。急激な経済成長によって、小売りの現場では消費者のニーズや行動の変容をどのように捉えていますか。

キショー・ビヤーニ(Kishore Biyani)氏
1961年、ムンバイ生まれ。48歳。現地の大学を卒業後、父親が経営していた繊維商に加わった。87年に独立して起業している。2006年には米CNBCの企業家賞を受けた。また、フューチャーグループは2007年には米全国小売連盟から「国際小売業賞」を受賞している
(写真:Thakkar Chandrakant)
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 ビヤーニ この10年ほど、経済が成長し人々の収入も急増しています。インドの中間層の間では消費願望が膨らんでいます。フューチャーグループは、こうしたニーズと願望に応えられるように、適正な価格で商品を供給できる体制を作りつつあります。

 我々が多用するのは「行動経済学」もしくは「行動科学」です。社内には数多くの社会学者がおり、彼らの知恵をビジネスにも活用しています。神話学者だっているんですよ。

 彼らの力を使って我々は「シナリオ・プランニング」をしています。消費者がどのように動くかのシナリオを作っているわけです。

 ―― 当然、インドだけでなく外資系も参入してきて、競争は激化してくるのでしょうか。

 ビヤーニ もちろん競争はいつでもあります。競争こそが市場を育てるのです。ただし、インドではまだ近代的な大手の流通業者の市場シェアは全体の4%しかないのです。これが将来は30%程度にはなるでしょう。

 世界の大手流通業者が参入してきても、市場の拡大と流通の近代化が同時に起きていくはずです。我々もその中で、自分たちの事業を伸ばしていきたい。

ハイパーマーケットの「ビッグバザール」。設立から8年で116店のチェーンに急成長した
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顧客を徹底的に観察して、新しいタネ探す

 ―― 1987年に既製品の衣料品店からスタートしたこのグループが、わずか20年余りでハイパーマーケット「ビッグバザール」や家電販売などの小売業から、保険やベンチャーキャピタルにまで事業の幅を広げてきました。その秘訣は何だったのでしょうか。

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著者プロフィール

伊藤 暢人(いとう・ながと)

日経ビジネス副編集長。



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