中国を筆頭にアジア地域全体で景気が回復に向かっているのに伴い、ある産業が息を吹き返している。カジノだ。
総本山は米国からアジアへ。金融や自動車などほかの産業と同じように、ギャンブル業界でもその重心が太平洋を渡って西へ移動している。
目下、業界内で関心が高いのがシンガポールの動向だ。
カジノでも低税率のシンガポール
厳格な治安対策で知られるシンガポールでは、カジノは長らくご法度だった。根強い反対意見もある中、2005年にその方針を撤回。金融危機の影響でやや遅れたが、来年初めに開業する。
場所は観光客におなじみのセントーサ島と、中心部から目と鼻の先にあるベイエリア「マリーナ・ベイ」地区。この2カ所で、合計約6000億円を投じた新施設の建設が進められている。
日本以外のアジアでは初となる大型テーマパークのユニバーサル・スタジオや大型会議施設などもオープンする予定で、外国人観光客と国際イベント誘致の競争力底上げを狙う。
シンガポールがカジノ解禁に動いた背景には、膨張するアジアの富裕層が生み出す成長市場を中国のマカオ特別行政区などに独占されることの危機感があったとされる。
後発となるシンガポールの1つの武器は低税率だ。多くの国・地域の政府は、カジノ事業者の収益に対し高い税率を課している。アジアでは例えばマカオが40%、マレーシアは28%だ。
1年で復活を遂げたマカオ
対するシンガポールは15%。世界でも最低水準に設定する。
加えて、一定金額以上使う“ハイローラー”と呼ばれるVIP客に対してはわずか5%しか課さない。ハイローラーは主に「ジャンケット」と呼ばれる仲介業者が連れてくる仕組みだが、税率が低ければジャンケットに仲介手数料を多く支払える。
カジノでは一部のハイローラーが落とす利益がその他大多数の一般客のそれよりも上回るのが通常だ。低い法人税や所得税をアピールして企業や人材を集める“シンガポールモデル”で、世界の富裕層を呼び寄せる戦略である。
片や米ラスベガスを抜き世界一のカジノのメッカとなったマカオ。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。




からのご案内




