「アジアで稼ぐ!」

日曜日のヒマなお父さんにストライク

中国内陸部でクルマを裏返す、これぞ「日産180」的売り方

バックナンバー

2009年11月2日(月)

1/3ページ

印刷ページ

 米国発の金融危機をきっかけに自動車の販売不振は瞬く間に全世界に広がった。日産自動車も例外ではなく2009年3月期は9年ぶりの赤字に陥った。カルロス・ゴーン氏を社長として招き入れてから初の赤字決算であり、カリスマ経営者を持ってしても今回の危機から免れることはできなかった。

 2008年末には金融市場で「日産は資金ショートするのでは」と噂されるほど資金不足に苦しんでいたが、2010年3月期の第1四半期(4〜6月)は営業損益が黒字に転換するまでに回復した。反撃の原動力となったのが中国市場だ。先行していたトヨタ自動車やホンダを追い抜く勢いで販売台数を伸ばし、2009年には中国での販売台数が日本を初めて上回ることになる。

 好調な販売現場で何が起きているのか。その秘密を解き明かそうと、記者は中国内の日産系ディーラーに足を踏み入れた。そこでは何とクルマがひっくり返して売られていたのだ。

《日経ビジネスは2009年11月2日号で
「日産の反撃、再び」と題する特集を掲載しています》

 「ジャーン」――新車が売れる度に鳴らす鐸の音が店内に響き渡った。ここは中国広東省仏山市にある「東風日産吉泰店」。総経理を勤める王艾青氏は「今日はもう3台も売れましたよ」と顔を紅潮させながら語った。開店から1時間余りしか経っていないのに、次から次へと車が売れていくのを記者も目の当たりにした。

成長著しい内陸部を攻める

広東省仏山市にある日産系ディーラーの「東風日産吉泰店」。1台のクルマに複数の客が群がる光景を何度も目にした。(撮影:坂田 亮太郎、以下同)
画像のクリックで拡大表示

 東風日産は日産自動車と中国現地企業である「東風集団」が折半出資して設立した「東風汽車」の乗用車部門だ。主に日産ブランドのクルマを販売しており、高級セダン「ティアナ」を筆頭にSUV(多目的スポーツ車)や小型車「リヴィナ(日本未設定車種)」まで7車種を揃える。

 東風日産の販売は絶好調だ。10月14日には、年末まで2カ月余りを残して年間の販売目標を早々と達成してしまった。このままのペースで売れ続ければ、2009年は乗用車だけでも50万台の大台を超える見込みだ。

 好調な理由は様々ある。詳しくは日経ビジネス11月2日号の日産特集をご覧頂くとして、今回記者が注目したのは中国内陸部にまで入り込んだ販売活動だ。新車を載せたトレーラーを3編成組織して、通常のモーターショーでは回りきらないような中小都市で重点的にイベントを繰り返している。

 モータリゼーションの波が押し寄せたばかりの内陸部では、自動車はまだ身近な存在ではない。そんな地方都市に新車を満載したトレーラーキャラバンがやって来るのだから、それだけでも集客効果がある。豊かになったとは言え、この国ではクルマはまだピカピカの憧れの存在なのだ。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



バックナンバー>>一覧

関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント3 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール
坂田 亮太郎(さかた・りょうたろう)

日経BP社北京支局長。入社してから6年間はバイオテクノロジーの専門誌「日経バイオテク」で記者として修行、2004年に「日経ビジネス」に異動、以来、主に製造業を中心に取材活動を続けた。2009年から北京支局に赴任し現在に至る。趣味は上手とは言い難いがバドミントン。あと酒税の安い中国はビール好きには天国です。


このコラムについて

アジアで稼ぐ!

 日本企業が生き残るためには、21世紀の成長センターであるアジアでの成功は不可避。ただ一概に成長市場といっても、そのスピードや発展過程には国・地域ごとに様々な特性がある。市場の真の姿を把握しない限り、適切な対応はできない。アジア市場を「内需」ととらえ、これを制する“術”を分析する。
アジア会議についての詳細はこちら

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン